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朝日だより

税務調査の転機!無申告の後出し経費は認められない(朝日税理士法人だよりVol.217)

2023年04月01日 朝日税理士法人

【確定申告要否のご相談】

皆様、確定申告は無事に終わりましたか。毎年確定申告シーズンになると、「私は確定申告必要なの?」といった相談が増加します。「申告が必要」「所得税では必要ないけれど、住民税申告では必要」「申告しなくてよい」「申告したほうが得」といったケースがあり、今年も弊法人で多数のご相談を承りました。

今回は、結果的に申告が必要な方が何もせず放置したままだと、今後大きなペナルティを被る可能性があるというお話です。

 

【税制改正】

2022年の税制改正では「証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置」が新たに設けられ、2023年1月から無申告者や不正申告者に対する税務調査が厳格化されます。

これは、税務調査で無申告を指摘された納税者、売上や経費の隠蔽や仮装を税務調査によって指摘された納税者に対し、税務調査後に提出する経費、いわゆる「後出し経費」を認めないというものです。

 

【改正理由】

申告義務を知りながら申告しないとなると、税務調査での指摘に通常の税金に、無申告加算税(15%~20%)や重加算税(40%)が課される可能性があります。そこで経費の額を増やそうと税務調査後に大量の領収書を経費として提出する納税者もおり、提出された領収書が適正なものであるかを調査官が判別するための作業には膨大な時間と労力がかかります。さらに後出し経費を認めることによって、悪質な納税者が得してしまう事例もあります。このような背景から無申告者や所得を適正に申告しなかった納税者に対する厳しい措置が取られるようになりました。

 

【改正内容】

それまで帳簿に記載されていなかった経費を税務調査で無申告や仮装・隠蔽を指摘されたのちに初めて主張する「後出し経費」ですが、中には本当の経費もあります。しかし帳簿書類等から明らかではなく、税務署が行う反面調査などでも取引が認められない場合の「後出し経費」は損金不算入となり、経費(原材料費等、販売等する資産の取得に直接要した額を除く)にならない措置となります。適用時期は、所得税については2023年以降分より、法人税については2023年1月1日以後に開始する事業年度より適用されます。

 

【領収書がない場合】

反対に「領収書がなければ、経費として絶対に認められない」ということはありません。その1つの例が、法律で推計課税が認められているからです。無申告の会社や個人の税務調査でよく採用される方法で、無申告の会社や個人は白色申告である場合が多く、領収書等も残っていない場合が多いことが理由です。

無申告の会社や個人事業主の場合、領収書等が全くなかったとしても、一定程度の経費は認めてもらうことが可能です。

 

【売上や収入に関しても改正あり】

さらには「帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置」が設けられ、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑止するために、無申告や過少申告に関するペナルティとなる税金がさらに加重されます。

税務調査等帳簿の提出の要求があった場合において売上や収入に関する帳簿の記載についての規制が入り厳格化されることになりました。(2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税)

<本則の加算税に10%が上乗せされるケース>

・帳簿を提出できない場合

・帳簿を提出した場合であっても売上金額または収入金額の1/2以上が記載されていなかった場合

 

<本則の加算税に5%が上乗せされるケース>

・売上金額または収入金額の1/3以上が記載されていなかった場合

 

【まとめ】

無申告者や所得を適正に申告しなかった納税者に対する厳しい措置が取られるようになりました。

確定申告の必要性があるのを知りつつも確定申告の知識がないために無申告の状態を続けてきてしまった方や、バレないだろうと所得を過少に申告してきた方は、このまま無申告・過少申告の状態を続け税務調査に入られてしまうと、多額の追徴課税を命ぜられる可能性があります。

ご不安な方は、今後の対応についてのご相談を承りますので、弊法人までご連絡を頂ければと存じます。

 

(文責:関内本店 松岡陽介)

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