
一言でいうと、「どれだけ大儲けしても、最低限これだけの割合は税金を払ってくだ
さい」という超・富裕層向けのルールです。
■3つのポイント
① 目的は「1億円の壁」の解消
株の利益に対する税率は一律(約15%)のため、「数十億円を株で稼ぐ大富豪」の方が
「お給料で稼ぐ人」よりも実質的な税負担率が低くなる不公平がありました。これを
正すための制度です。
② 一般人には「まったく無関係」
対象は、株の売却や会社の売却(M&A)などで、莫大な利益を出した人のみ。普通の
会社員や個人事業主には一切関係ありません。
③ さらに強化へ!
2025年に始まったばかりの制度ですが、さらに基準が厳しくなりました。2027年から
は、株や会社売却の利益が「約3.4億円」を超える人も増税の対象になる見込みです。
(2026年までは約10.3億円超の方が対象)
■そうは言っても、経営者、一定の富裕層には影響が!
どのくらい影響がある?具体的に見てみよう!
計算の仕組みはシンプルで、次の「2つの計算」を比べて高い方を払うことになります。
(住民税はこれと別に5%かかりますが変更ありません。)
【A】通常の所得税(これまで通りの税金)
【B】最低限負担すべき所得税(ミニマムタックスの基準)
(合計所得金額-特別控除額)×最低税率の式で計算
※特別控除額 2026年まで3.3億円、2027年から1.65億円
※最低税率 2026年まで22.5%、2027年から30%
【B】が【A】を上回った場合、その差額が「追加の税金」として上乗せされます。
■株を売って「5億円」の利益が出た人の場合(他の所得がない前提)
2026年と2027年で、どれくらい手取りが変わるのか比較してみましょう。
▼ 2026年中に売却した場合
【A】通常の税金: 5億円 × 15.315% = 約7,658万円
【B】ミニマムの基準: (5億円 - 3.3億円)× 22.5% = 3,825万円
結果:【A】の方が高いため、追加の税金はゼロ!
▼ 2027年以降に売却した場合(大増税!)
【A】通常の税金: 5億円 × 15.315% = 約7,658万円
【B】ミニマムの基準: (5億円 - 1.65億円)× 30% = 1億50万円
結果:【B】の方が高くなり、差額の【約2,392万円】が追加の税金に!
同じ「5億円の利益」でも、売却する年が1年違うだけで、約2,400万円も税金が増えてし
まうことになります。
このように、今後は「超」富裕層だけでなく、数億円規模の利益が見込まれる方にも広く
影響が出てきます。
近いうちにまとまった株式の売却予定がある方、事業承継をお考えの経営者の方、M&Aを
予定している方は、売却のタイミングや対策について今のうちから注意が必要です!
社員税理士 水谷 優