
【はじめに】
「〇〇〇万円の壁」という言葉を、最近ニュースで耳にしない日はありませんね。30年もの間、当たり前だった「103万円」という数字。これが今、令和7年度・8年度の2段階の改正を経て、驚きの変化を遂げようとしています。
私たちの生活に直結する「お財布に優しい話」から、資産家にはちょっと厳しい「ルールの厳格化」まで、重要ポイントをギュッと凝縮して解説します!
【「壁」の歴史が動いた!103万から178万円への大ジャンプ】
長らく日本の働き方を縛ってきた「103万円の壁」が、今まさに劇的な変遷を遂げています。
1. これまでの常識
30年以上もの間、所得税がかからず扶養内で働けるラインは「103万円」が絶対的な基準でした。
2. 令和7年度の第一歩
物価高騰を受け、令和7年分として最大160万円まで拡大されました。
3. 今回の改正(到達点)
そこからさらに議論が加速!一部野党の強い主張も反映され、ついに最大178万円まで引き上げられることになりました(所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分から適用予定)。
【ランチ代も通勤も!「非課税枠」が42年ぶりの大盤振る舞い】
お仕事にまつわる「非課税(税金がかからない)枠」も拡充されます(令和8年4月〜)。
1. ランチ補助が2倍以上に
会社からの食事補助の上限が、月3,500円から7,500円へ!深夜勤務の夜食代も1回650円までアップします。(昨今の物価値上げを鑑みれば遅い気がしますが…)
2. マイカー通勤に「駐車場代」の味方
遠距離通勤の枠が広がるだけでなく、新たに「月5,000円の非課税駐車場手当」が新設されます。車通勤の方には、実質的な給与アップに近い効果があります。
【個人事業主も必見!青色申告の「アメとムチ」】
令和9年分の申告から、青色申告特別控除も「デジタル化」を軸に大きく変わります。
1.「アメ」の改正:優良な電子帳簿を保存している場合、控除額が現在の65万円から75万円へアップ!しっかり管理する人ほど得をします。
2.「ムチ」の改正:これまで55万円控除が受けられた「紙(書面)」での申告は、なんと一律10万円へと大幅縮小。まさに「デジタル化しないと損をする」時代に突入します。
【資産税に激震!「節税スキーム」に厳しいメス】
1. これまで不動産業界では、ある「仕組み」を利用した節税が広く行われてきました。
『アパート建築による節税』
銀行からお金を借りて収益物件を建てると、実際の価値に関係なく、相続税の計算上は財産評価がグンと下がる仕組みになっています。これを利用し、都市部に土地を買って借金でアパートを建てる「大きな節税」が横行していました。
『不動産小口化商品』
手持ちの資金を1口100万円などの小口商品に投資すると、まるで金融商品を買う感覚で都心一等地のビルの持分を持てますが、これも計算上の評価が大幅に下がる仕組みです。節税した後にすぐ売却して現金化する手法が目立っていました。
2. こうした、実態とかけ離れた「行き過ぎた節税」に対し、当局がついにメスを入れました(令和9年1月〜)。
『アパートなどの賃貸不動産について「5年ルール」が設けられた』
亡くなる前5年以内に取得した賃貸物件は、原則「買った時の価格(時価)」をベースに評価されてしまいます。これまでのような「財産評価がグンと下がる仕組み」は無くなり、直前の駆け込み節税はもう通用しません(所有期間が5年以上の土地を敷地とする賃貸物件建築はこのルールが適用されません。)
『小口化商品はもっと厳しく』
小口化商品は、保有期間に関わらず常に時価評価となります。手軽な相続税対策としてのメリットは、実質的に消失することになります。
【おわりに】
今回の改正をまとめると、「働く現役世代やデジタル派には手厚く、紙の申告や行き過ぎた節税には厳しく」という明確なメッセージが込められています。
令和8年からの「手取り増」をしっかり享受し、時代の変化に乗り遅れないような税との向き合い方が大事になると思います。
社員税理士 小竹 勝