
年末調整の始まり
1947年(昭和22年)、GHQ主導の税制改正により申告納税制度が採用されました。この際、給与所得者が全員確定申告を行うことによる国民と国の負担を軽減するため、企業が年末に税額を精算する「年末調整」が導入されました。
源泉徴収制度の導入
年末調整に先立ち、1940年(昭和15年)に所得税の大改正が行われ、戦費調達のために源泉徴収制度が導入されました。これは、ナチスドイツの制度を模範としたものです。企業が毎月の給与から直接税金を徴収し、国は前倒しで所得税収入を確保できるようになりました。
所得税の起源
日本に所得税が導入されたのは1887年(明治20年)です。これは、広大な土地を持つ農家と商工業者との間の税の不均衡を是正するためでした。当初は富裕層が対象で、「名誉税」とも呼ばれていました。
年末調整を行う国々
日本と同じように年末調整制度を設けている国としては、ドイツ、ノルウェー、ポルトガル、韓国などが挙げられます。特にドイツでは、10人以上の従業員を雇用する事業主に年末調整義務が課されています。韓国の年末調整は、日本における確定申告の内容まで含む「完全進化型」とも言える制度で、3月に行われるのが特徴です。
年末調整を行わない国々
アメリカ、フランス、イタリアなど、多くの国では源泉徴収制度はありますが、年末調整制度はありません。これらの国では、税金の最終調整は納税者自身が確定申告を行うことで完了します。
社員税理士 半田 茂