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朝日だより

成年年齢

2022年03月15日 朝日司法書士法人

来月から新年度がはじまります。生活環境や行政制度も大きく変わる時期ですが、民法では、約140年ぶりに成年の規定が見直されることになります。
今回は、何が変わるのか、私たちの暮らしにどのような影響がもたらされるのか、成年年齢の引下げに関して、法務省資料から述べていきたいと思います。


1.どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?
明治9年以来、20歳とされています。
近年、憲法改正国民投票の投票権年齢や,公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ、国政上の重要な事項の判断に関して、18歳,19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。
市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになり成年年齢を18歳に引き下げることになりました。


2.成年年齢は,いつから18歳になるのですか?
成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする民法は、2022年4月1日から施行されます。2022年4月1日の時点で、18歳以上20歳未満の方は、その日に成年に達することになります。
具体的には、2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの方です。
2004年4月2日生まれ以降の方は、18歳の誕生日に成年に達することになります。


3.成年年齢の引き下げによって、18歳で何ができるようになるのですか?
民法の成年年齢には、一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。
そのため、成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は、親の同意を得ずに、様々な契約をすることができるようになります。
例えば、携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる、クレジットカードを作成する、ローンを組んで自動車を購入する,といったことができるようになります。
なお、2022年4月1日より前に18歳、19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は、施行後も引き続き、取り消すことができます。
また、親権に服することがなくなる結果、自分の住む場所(居所)、進学や就職などの進路決定についても、自分の意思で決めることができるようになります。
そのほか,10年有効パスポートの取得や、公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くことなどについても、18歳でできるようになります。
ただし、クレジットカードの作成やローンを組む際は、支払能力の審査があるので一概に作成や契約ができるとは限りません。


4.お酒やたばこが解禁される年齢も18歳になるのですか?
お酒やたばこに関する年齢制限については、20歳のまま維持されます。
また、競馬、競輪などの公営競技の年齢制限についても、20歳のまま維持されます。


5.養育費はどうなるのですか?
子の養育費について、「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。
成年年齢が引き下げられた場合にこのような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが、取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからすると成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
また、養育費は、子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので、子が成年に達したとしても、経済的に未成熟である場合には、養育費を支払う義務を負うことになります。このため,成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
例えば、子が大学に進学している場合には、大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
なお、今後、新たに養育費に関する取決めをする場合には、「22歳に達した後の3月まで」といった形で、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

(文責 朝日司法書士法人 高橋真人)

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