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朝日だより

民法(相続法)改正!遺留分制度の見直し(朝日税理士法人だより資産税版Vol.117)

2020年08月01日 朝日税理士法人だより 資産税版

今回の特集では従来の「遺留分減殺請求」が「遺留分侵害額請求」へ制度改正されたことについて取り上げています。
そもそも遺留分とは何でしょうか?亡くなった被相続人は誰にその財産を相続させるのか、遺言書に残すことができます。例えば家族・親族以外の全くの第三者に相続させることを遺言することもできるのです。
しかし、そのような遺言により配偶者や子などの家族(相続人)に財産が全く残されなかった場合に、その相続人の生活を脅かすような不都合が生じる可能性があります。そこで民法においては、一定の範囲の相続人に対して最低限度の財産の相続を保障しているのです。それが遺留分という制度なのです。これにより遺留分を認められた一定の範囲の相続人は、遺言書により財産を相続した者に対して遺留分侵害額請求を行い、自身に割り当てられた遺留分の財産を取得することができるのです。
そして遺留分で保障された相続財産ですが、「法定相続分×遺留分の割合」で計算されます。この遺留分の割合とは、相続人が直系尊属(被相続人の父母や祖父母)のみである場合には、3分の1になりますが、それ以外の相続人であれば2分の1になります。すなわち配偶者が相続人の場合には、法定相続分が2分の1でさらに遺留分の割合である2分の1が掛けられて、最終的には財産の4分の1が配偶者の遺留分(相続財産)となります。尚、兄弟姉妹には遺留分は適用されませんので、ご注意願います。
さて本題の制度改正ですが、「物件的効果から金銭債権へ」と「遺留分通算の基礎となる財産の計算方法変更」の2つになります。一つ目の「物件的効果から金銭債権へ」とは、遺留分侵害額請求は金銭の請求に限定される。すなわち金銭による支払いのみで、現物による支払いが認められないことになりました。
二つ目の「遺留分通算の基礎となる財産の計算方法変更」とは、法定相続人に対する生前贈与の取り扱いを規定したもので、従来は何十年前の贈与であっても遺留分の計算基礎財産に含めることになっていました。すなわち全ての生前贈与を被相続人の相続財産に含めて遺留分の計算をしていたのです。これが改正により相続開始前10年以内の贈与に限定されることになったのです。
尚、「物件的効果から金銭債権へ」と「遺留分通算の基礎となる財産の計算方法変更」の詳細は、右の画像をクリックして参照願います。

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