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朝日だより

【地価】

2020年10月12日 士業だより

こんにちは。

今回担当させていただく、不動産鑑定士の藤田です。

 

去る9月29日に、地価調査の価格が公表されました。

この公示調査とは、毎年7月1日時点の各市区町村の住宅地・商業地・工業地の地価及び変動率を公表するものであり、各都道府県より委嘱された不動産鑑定士が調査して地価の判定を行います。ちなみに私は三浦半島(横須賀市・逗子市・三浦市・葉山町)の担当を任命されております。

また、地価公示というものもありますが、こちらは毎年1月1日時点の価格であり、公表主体が国土交通省となっております。地価調査・地価公示いずれにも共通する地点もあり、半年ごとの地価変動の変更も可能となっております。

 

以下にて、令和2年(2020年)7月1日時点の公示地価の動向について具体的に述べていきたいと思います。

 

まず全国的な傾向としましては、住宅地・商業地・工業地とも平成29年以来3年ぶりに平均価格が下落しました。特に住宅地は大きく下落し、商業地も平成27年以来5年ぶりに下落に転じるなど、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響を大きく受けました。近年はリーマンショック後の不況から脱却し、地価は上昇傾向にあっただけに新型コロナの影響の大きさを感じざるを得ません。特にオリンピックの開催によるインバウンド需要を見込んで開業したホテルや飲食店を抱える商業地は大きなダメージがあったと考えられます。

 

神奈川県内に限って見ても同様の傾向で、住宅地の県全体の平均変動率もマイナス0.9%(前年はプラス0.1%)となりました。横浜市、川崎市、相模原市の一部の都心アクセスの良好なエリアでは引き続きプラスを維持しているものの、大半のエリアでは下落となりました。商業地については更にコロナ禍の影響を強く受け、昨年県全体の平均変動率は前年度プラス2.5%からマイナス0.2%となり、結果としては上昇となったものの停滞感は否めません。

 

個別のエリアで変動率を見てみると、上昇率のトップは、

住宅地:横浜市中区山手町、相模原市緑区橋本1丁目(ともにプラス4.0%)

商業地:横浜市神奈川区鶴屋町2丁目(プラス5.9%)

という結果になりました。

 

山手町は住宅地価格においても県内トップを長年に渡り維持しております。本年度の価格は1㎡あたり670,000円。旧来から神奈川県内の著名な住宅地としての地位を維持しているだけに納得な結果といえます。

相模原市橋本1丁目は、最寄駅である橋本駅にリニア新駅が開業される影響が強く、ここ数年高い上昇率を維持しています。

一方、商業地上昇率トップの鶴屋町2丁目は横浜駅西口近くのエリアで、6月に開業したJR横浜タワーと鶴屋町ビルという、二つの高層商業ビルの影響が強いと考えられます。しかし、同エリアの前年の変動率はプラス25.3%だったので、やはり新型コロナの影響を大きく受けています。実際、二つの商業ビルも当初の予定日より開業が二か月近く遅れました。今回の地価調査から半年後となる、令和3年1月1日時点の地価公示において新型コロナの影響がどのような形で地価に影響を与えているのか。テレワーク体制が整いつつある昨今は、小田原市などの郊外に移住する方も増え、住宅地需要が高まっているとの情報もあります。

 

現時点では予測しづらい部分も大きいですが、引き続き注視してまいりたいと思います。

                       
(株式会社あかつき不動産サービス 藤田勝寛)

 

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