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朝日だより

人手不足の実態と解決策(朝日税理士法人だよりVol.226)

2024年01月01日 朝日税理士法人

 新年早々大規模な震災や飛行機事故が起こり大変重苦しい新年を迎えました。お亡くなりになった方には心からご冥福をお祈りいたします。

皆様におかれましては、慌ただしい年末が過ぎ、良いお年を迎えられましたでしょうか?私は12月に12件の忘年会に参加し、コロナ以前ほどではないにせよ、忘年会も増え、飲食店も繁盛し、何よりと感じています。ただし、2023年の中小企業の人手不足は深刻でした。そして2024年もすぐには解消しそうもありません。

 昨今の人手不足について中小企業庁は「少子高齢化を背景として人口が減少傾向にあることに加え、生産年齢人口が減少していることにより、人手不足が深刻になりつつある」と発表しています。まず人口減少について「我が国の人口は2008年をピークに、2011年以降は減少が続いており、将来的にも減少が続く見込みとなっている。内訳について見ると、64歳以下の生産年齢人口が減少傾向にある一方、75歳以上の高齢者人口の割合が増加し続けている」と統計資料からは読み取れます。このため就業率及び就業者数は、2018年に統計開始以降で最高水準を記録しています。年齢別に見ると、特に60~69歳の高齢者の中でも比較的若い層で労働参加が進んでいます。つまり働ける人は高齢者も含めて皆働いているのにこの人手不足に陥っています。

 次に有効求人倍率及び新規求人倍率について見ると、リーマン・ショック以降緩やかに上昇し続けており、有効求人倍率は足下では約45年ぶりの高水準、新規求人倍率は過去最高水準で推移しています。事業所の従業者規模別の求人数の推移について見ると、500人以上の事業所についてはほぼ横ばい、30~499人の事業所については緩やかな上昇傾向に留まっているのに対し、29人以下の事業所では2009年以降大幅に増加しています。つまり小規模な事業所ほど人手不足が深刻です。

 続いて現職の企業規模別転職者数の推移について従業者数1~299人の企業を中小企業、300人以上の企業を大企業として、まず前職が中小企業だった場合について確認すると、中小企業への転職者数はほぼ横ばいで推移している一方、大企業への転職者数は増加傾向です。次に前職が大企業だった場合、こちらも中小企業への転職者数はほぼ横ばいに対して、大企業への転職者数は増加傾向にあり、総じて中小企業が転職先として選ばれにくい傾向にあります。そのような中でも、大企業から中小企業へ入職するケースがあります。その理由としては「能力・個性・資格を生かせる」と答えた人の割合が高く、また「労働条件が良い」という点で、中小企業に入職するケースが大企業に入職するケースを上回っており、働きやすさを求めて中小企業へ転職する人が多いことが分かります。従って、中小企業はこれらの点についてアピールしていくことが大企業経験者を採用する上で非常に重要です。

 また、中小企業の労働生産性について業種別に分解してみると、建設業や卸売業では緩やかな上昇傾向にあるのに対し、製造業・小売業・サービス業では横ばいに推移していることが分かります。生産性の低さは利益の悪化に繋がりますので改善が必要です。

 このように統計数値を紐解いてみると、採用に苦しむ中小企業の姿が目に浮かんできます。簡単なことではありませんが、自社からの転職者をいかに減らすか、どうすれば転職者にうちに来れば能力を生かせると思ってもらえるか、そしてDX化等を利用して自社の生産性をいかに引き上げるかが、重要な鍵となります。

 朝日税理士法人は、今年も皆様を全方位で支援いたします。昨年に引き続き、今年も一年、どうぞよろしくお願いいたします。

朝日税理士法人 理事長 石井孝雄

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