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朝日だより

相続空き家譲渡所得3,000万円控除(変更点まとめ)(朝日税理士法人だより資産税版Vol.151)

2023年06月01日 朝日税理士法人だより 資産税版

1.『相続空き家譲渡所得3,000万円控除』とは

 近年日本では空き家が増えており、20年間で約2倍(※)にもなることが深刻な社会問題となっています。その取得原因は、相続によるものが過半数を超えるそうです。この相続した空き家の売却を後押しするための特例が「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、相続空き家の3,000万円控除)」です。

例えば実家に一人で住んでいた親が亡くなり、実家の不動産を相続することになったが、相続人は実家に住むつもりがなく、空き家になってしまう。そんなとき、この不動産の売却を考えるでしょう。

通常、不動産を売却すると、利益(譲渡所得といいます)に対して所得税・住民税がかかります。しかし、相続で取得した被相続人の居住用不動産を売却する場合に、一定の要件を満たせばこの利益から3,000万円を控除することができます。

 令和5年度税制改正において、この特例の要件の一部が変更されることになりました。

 

2.現行制度と新制度の違い

相続空き家の3,000万円控除の適用期間は、令和5年12月31日まででしたが、令和5年度税制改正により適用期限が令和9年12月31日まで延長されました。

また現行制度の要件では、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された建物が対象となり、譲渡する側(相続人等)が売却前に一定の耐震基準を満たす建物にリフォームするか、または取り壊して更地にしなくてはなりませんでした。

令和5年度税制改正により、譲渡する側が売却前に耐震リフォームや取壊しをしていなくても、購入する側が譲渡日の属する年の翌年2月15日までに、空き家の耐震リフォームや取壊しを実施すればよいことになり、要件が緩和されました。

また現行制度では、相続人が複数名いる場合、控除額は各人あたり3,000万円ずつと定められていました。しかし令和5年度税制改正では、相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円に引き下げられました。

これにより相続人が3人の場合、譲渡時期が令和5年中であれば、控除額が最大9,000万円(3,000万円×3人)になりますが、令和6年以降の譲渡では控除額が最大6,000万円(2,000万円×3人)となります。このため3人以上で財産を取得するようなケースでは控除できる金額が変わる可能性があります。

上記改正は令和6年1月1日以後の譲渡について適用があります。

 

3.ほかの特例との併用

①小規模宅地等の特例

相続税の申告時に小規模宅地等の特例を選択した場合でも、一定の条件のもと、売却時に相続空き家の3,000万円控除を適用することは可能です。

小規模宅地等の特例は、原則として被相続人と同居していたことが要件ですが、相続人に持家がない場合(いわゆる家なき子)には、適用が可能な場合があります。 

この場合には、相続税の申告期限まで居住用不動産を所有していることが必要になりますので、急いで売却してしまわないように売却の時期には注意が必要です。

②取得費加算の特例

 相続で取得した財産を売却した際に、一定期間内であれば、相続税のうち一定額を譲渡資産の取得費に加算することができる特例があります。ただし、こちらは空き家の譲渡所得の特例とは選択適用になるため、併用はできません。

 

4.おわりに

特例の適用には要件に該当するかどうか、慎重に確認する必要があります。お困りの際には、朝日税理士法人までお気軽にご相談ください。

(文責:浅野晶子)

(※)H5~H25 出典 国交省資料

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