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朝日だより

SNS等での誹謗中傷への対処法(朝日税理士法人だより資産税版Vol.149)

2023年04月01日 朝日税理士法人だより 資産税版

1.はじめに

スマートフォンの普及により、SNSの利用者数が増大し、日本におけるSNS普及率は82%に及ぶとの調査結果があります。また、インターネット上の口コミサイト等の掲示板も多数存在し、何か物を買うときにはこれをチェックする方も多いかと思います。

しかし便利な反面、匿名で情報が発信できるインターネット上の投稿では誹謗中傷が起こりやすいのも事実です。メディアで「炎上」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。

たとえば、不動産を所有されるオーナーの皆様の中には、SNSや掲示板に、その真偽を問わず、不動産に関するネガティブな事実を書かれて、悩まれている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、インターネットに投稿されてしまった記事を削除する方法について、ご案内します。

 

2.SNS等の管理者への削除依頼

 SNSや掲示板の管理者は、投稿のガイドラインを定めているのが通常です。そこで、管理者に対し、ガイドラインに沿って削除を求めることが考えられます。

例えば、「Yahoo!知恵袋」では、利用のルールとして、禁止事項が12個定められています(https://chiebukuro.yahoo.co.jp/topic/guide/rule/#banned_item_1)。削除を求める場合、削除依頼の対象となる投稿をURL等で特定の上、お問い合わせフォームから削除依頼をすることになります。削除依頼をする際は、発信された投稿が禁止事項にあたることをわかりやすく説明することが必要です。

 

3.プロバイダ責任制限法ガイドラインに沿った削除依頼

SNSや掲示板への書き込みよって権利の侵害があった場合、プロバイダに対する発信者情報の開示を請求する権利等を定めた法律として「プロバイダ責任制限法(正式名称:「特定電気通信役務

提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)」という法律があります。一般社団法人テレコムサービス協会は、プロバイダ責任制限法の運用のガイドラインを制定し、書式等も公開されています(https://www.isplaw.jp/)。

 

4.裁判手続による場合

(1)SNS等の管理者に対し削除請求の裁判をすることが考えられます。名誉棄損等の投稿が掲載されたままですと被害が広がりますので、短期間で結論が出る仮処分という手続きを利用することが一般的です。

(2)また、投稿者に対し損害賠償請求をする場合には、匿名の投稿者を特定するべく、発信者情報の開示請求を行います。

  例えば掲示板では、管理者に対し投稿者のIPアドレス等の情報開示請求を行います。この場合も、短期間で結論が出る仮処分手続を利用することが一般的です。

 IPアドレス等が開示された後、投稿者の利用しているプロバイダを特定し、投稿者の住所・氏名等の開示を求めます。この手続は、訴訟で行われることが多いようです。

 投稿者の住所、氏名等が明らかになった場合には、投稿者に対し不法行為に基づく損害賠償請求の訴訟を行うことになります。

(3)プロバイダ責任制限法の改正

上記(2)のとおり、従来、投稿者に対し損害賠償請求をするには少なくとも3つの裁判手続が必要でした。しかし、令和4年10月1日に改正プロバイダ責任制限法が施行されたことにより、掲示板の管理者及びプロバイダに対する発信者情報開示請求を一つの手続で行うことが可能となりました。

 

5.おわりに

 上記のようにSNSトラブルには複雑な手続きが必要になることがあります。お困りのことがありましたら、私たち朝日弁護士法人の弁護士にご相談下さい。

(文責:朝日弁護士法人 弁護士 福本浩志)

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