
◆あこがれの物件なのに何故住めない◆
Q:タワーマンションの最上階に何故住めないの
A:賃貸にした方が節税効果が高いからだよ。でも改正でその効果は薄れるよ
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【指さすところに喜びと悲しみが混在】
B子:「あの一番高いところなのね」
A太郎:「そうだよB子」
B子:「あそこが私たちのモノになるのね」
A太郎:「そうだよB子」
B子は一番高いところを指さしながら、夢の頂点にいる気分でした。
ところが・・・・
B子:「A太郎の嘘つき」「私たちのモノじゃないじゃないの」
A太郎:「そんなことないよ、俺たちのモノになるよ」
B子:「だって、他の人の名前があるじゃないの」
B子は、その名前を指さしながら、怒っています。
A太郎:「いいんだよ、他の人の名前で」
・・・さて、B子は何を指さし喜んで、何を指さし怒っているのでしょうか?読者の皆さんお解りになりますか?
【混在の答え】
(1) 指さし喜んでいたのは「タワーマンションの最上階の部屋」です。
(2) 指さし怒こっていたのは「その部屋の表札」です。
B子:「一体どういうことなのか、説明して」
B子は夫のA太郎に詰め寄りました。
A太郎:「そんなに怒るなよ、きちんと説明するから」
そう言ってA太郎はB子に説明をしました。
【節税効果が大きい】
A太郎の説明によると・・
・B子が指さしたタワーマンションの最上階の部屋は、A太郎の父(高齢)が1億円以上の価額で購入したモノ
・ 父の遺言ではA太郎がこれを相続することになっている
B子:「お父様が購入なさったのに、何故他の人が住んいでるの」
これについて「その方が、相続税の節税効果が高いみたいなんだよ」とA太郎は答えました。
これを聞いたB子はとても不満そう・・
都心で大人気のタワーマンション
億単位の部屋であっても、人気が高く、物件が出れば、あっという間に売れてしまう状況のようです。
それは、B子のように、タワーマンションに自ら住みたいというニーズのほか、今回の例のように相続税節税というニーズがあるためです。
【相続税評価(評価引き下げ)のからくり】
(1) 1億円のお金は1億円
例えば1億円というお金があった場合、相続税の評価では、これは1億円として評価されます。
(2) 時価1億円の土地はいくらで評価される?
それでは、1億円で土地を買った場合、その土地はいくらで評価されるでしょうか?
土地は、原則として相続税路線価というモノをベースに評価されます。
この相続税路線価は、時価の概ね8割を基準としているので、この基準を単純に当てはめると8000万円になります。
つまり、現金のままでもっているよりも土地に変えた方が2割安く評価されるのです。
(3) 土地+建物合計で時価1億円の不動産はいくらで評価される?
では、この1億円で、土地付き建物(土地5000万円、建物5000万円)を取得した場合、いくらで評価されるでしょう。
土地は上記に従い2割低い4000万円となります。
そして建物はというと、かなり低く評価されます。
それは何故か?建物は固定資産税評価額というモノで評価されるためです。
固定資産税評価額は、実勢価格よりもかなり低く評価されます。それは購入額の半値くらいになるケースも多々あります。
仮に、半値程度であった場合、建物は2500万円、土地と合わせると6500万円、なんと3割5分も低く評価されます。
(4) 建物を賃貸すると評価はどうなる?
更に、これを他人に賃貸すると、土地については概ね2割、建物については3割、それぞれ評価が下がります。
つまり、土地は2割下がって、また2割下がる=つまり3割6分程度下がる。
一方、建物は半値になり更に3割下がる=つまり6割5分下がることになります。
(建物の方が評価の下げ幅が大きいということになります)
(5) まとめ・・・お金をモノに変えて、更に賃貸すると評価が下がる
(1)~(4)にて説明したとおり、相続税の計算上では、お金を土地や建物に変えて更にそれを賃貸すると、評価は大きく下がります。
そして、不動産に変える場合、土地よりも建物の方が、評価が下がる割合が大きいのです。
【タワマン節税スキーム】
マンションは土地の上に大きな(高さのある)建物が建築されます。よって戸建て不動産に比較して不動産全体に占める建物の割合がとても大きくなります。
このことから、前述の説明のとおり相続税の計算上その評価は大きく下がります。
更に、賃貸することで、もう一段下がることになり、A太郎さんのお父様のようにお年を召された方の相続税節税に良く使われています。
具体的な使い方の例は下記です。
(1) 資産家の方が、タワーマンションを購入し、これを第三者に賃貸する
(2) その後相続が発生
(3) 前述の評価により、相続税節税が大きく図れる
(4) 相続を受けたあと、相続人(例えばA太郎のような人)が、その物件を売却する
人気のあるタワーマンションは高値で売れるため、相続人は相続税の負担が少なく現預金を得ることが出来る
【改正第1段・・平成29年】
「タワーマンションなんて買える人は、一部の富裕層に限られる」
「そんな富裕層にしか出来ない節税方法をこのまま認めてよいのか」
そのような意見が沢山でたのでしょうか・・・
平成29年にある改正がなされました。
それは、固定資産税の改正です。
改正前のマンションの固定資産税は下記のように計算されていました。
(1) 建物全体を評価する
(2) その全体の評価をもとに、床面積の大きさごとに個別部屋の評価をする
この方法だと、同じ部屋の大きさであれば、1階も最上階も同じ評価になります。
最上階の方が人気が高く、実勢価格が高いのに、固定資産税は、1階と変わらないのは不公平だ・・という意見がありました。
そこで、平成29年の改正で、階が高い方が、固定資産税の負担が高くなるように改正されました。
【改正第2弾・・令和5年】
この改正により、タワーマンションの最上階など、人気があり実勢価格が高いマンションの固定資産税についての不公平はある程度解消されました。
固定資産税という毎年かかる維持費の負担増になったことによりタワーマンションの投資熱が下がると期待されましたが、下がるどころか逆に上がる傾向にあります。
つまり、この改正だけでは、富裕層の節税目的によるタワーマンション投資熱を下げることが出来ませんでした。
そこで、今般の税制改正により、相続税の見直しがなされました。
その見直しとは、タワーマンションの実勢価格に応じるカタチで、人気のある高層部分になればなるほど、低層部分に比較して、評価が高くなる仕組みが導入されるというモノです。
これにより、これまで実勢価格の4割程度まで下がったタワーマンションの評価額が、実勢価格の6割程度に抑えられるようになります。
これにより・・・
B子:「あそこの低い場所なのね、私たちのモノになるのは」
A太郎:「仕方無いだろ、高い階では税金上の評価が下がらないんだから」
B子:「でも、イイわ、どうせ人に貸して私たちが住めないのだから」
A太郎」「そうだね・・・」
このように冒頭部分の会話が変るかもしれません。
(文責:社員税理士 小竹 勝)