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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 足場リース節税にストップ ◆

2022年6月13日 BLOG

◆ 足場リース節税にストップ ◆

 

Q:足場をリースすると節税できるみたいだよ

 

A:これまでは節税できたけど、今回の改正でメスがはいったよ

 

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【建築現場の足場の意外な所有者】

ビルの建設や外壁塗装などの現場でお馴染みの足場。

いくつかの金属パイプを組み合わせることで、どんな高いところでも、工事や塗装修繕などができます。

さて、ここで問題です。

■筆者:「工事現場などで大活躍する足場ですが、この足場はどんな業種の会社が所有するでしょうか」

■読者:「そんなの簡単、建設工事業などを行う会社でしょ」

・・・と多くの方はそのように思われるかもしれません。

しかし、答えは「×」

実は、工事業と全く関係の無い業種の会社が所有しているケースがかなりあるとのことです。

「一体どんな業種なの」・・皆さん気になりますよね。

実は、業種はあまり関係ありません。

ただ、特徴としては、利益を沢山出している会社が多いとのこと。

その理由は何か?

それは、節税効果があるためです。

 

【3年間で費用化すべきなのに初年度に費用にできる】

工事現場の足場では多くの金属性パイプなどが組み合わされて使われています。

そして、工事が完了すれば、足場は解体されて使われていたパイプ等は倉庫などに保管されます。

その後、次の工事があれば、再び倉庫などから出され、足場として使われます。

つまり使い捨てではなく、金属製で丈夫なので、何度も何度も(数年間にわたり)使うことができます。

このように、消耗品ではなく数年間にわたり使える資産については、購入して利用した際に費用(損金)にするのではなく、法人税などの計算では、減価償却といって、耐用年数にわたり少しずつ費用(損金)にすることが求められています。

足場の場合、その耐用年数は3年です。

よって、例えば足場の鉄パイプなどを何十本・何百本購入しその額が500万円であっても、その購入して使用開始した年度には500万円を全額費用(損金)にすることができず、3年間にわたり、減価償却というカタチで費用(損金)にしなければなりません。

ところが、これを購入した際に全額一括して費用(損金)化できる方法があります。

それは、購入したときに、「資産」として会計帳簿処理せず、「消耗品費」などの「費用」科目として会計帳簿処理する方法です。

「えっ!会社の帳簿の処理だけで、全額費用にできるの?」

「もっと複雑な手続きが必要かと思った」とお思いになる読者の方もいらっしゃるのでは・・・

法人税法施行令という法律に「10万円未満の資産について(会社の会計帳簿処理にて)損金経理=費用計上した場合は、それを損金=費用とする」という規定があり帳簿処理だけでできます。

足場で使う金属パイプなどは何十本・何百本の合計が500万円であっても、1本あたりの値段は10万円未満になります。

よって、これを消耗品費として損金経理=費用計上すれば、500万円という大きな額を損金=費用とすることができ、大きな節税を図ることができます。

 

【足場を使ったオペレーティングリース節税のカラクリ】

■読者:「節税できる理屈は解ったけど、工事業でも無い会社が足場なんて買ったって使い道が無いので、お金の無駄じゃないか」

■筆者:「そのとおりです。そこで『オペレーティングリース』という方法を使います」

オペレーティングリースの仕組みは下記です。

(1)節税をしたい会社は、ある会社(A社)に(上記の例)500万円支払う

(2)A社は、そのお金で、節税したい会社の名義で鉄パイプなど足場の材料を購入する

(3)節税したい会社は、その500万円を消耗品費などの費用に計上する

(4)A社は、節税したい会社の依頼を受けるカタチで、その足場を建設関連業者などにリースする

(5)A社はその業者からリース料の支払いを受け、一定の手数料を差引き、節税したい会社に支払う

(6)そして数年後、節税したい会社は、その足場をA社へ売却する

これにより節税したい会社は、500万円を支払った年度に、500万円を損金=費用にすることができる。

そして、その後、リース料の支払いを少しずつ受け、最後に、足場を売却して500万円に近い金額を回収することができる。

こんなカンジで、節税も、その後の資金回収もできるということです。

 

【節税にメス】

ところが、今回の税制改正で

法人税法施行令にある「10万円未満の資産について(会社の会計帳簿処理にて)損金経理=費用計上した場合は、それを損金=費用とする」という規定については、本業と関係の無いところでリースなどの賃貸に使う資産については、適用除外とするということになりました。

つまり、足場を使ったオペレーティングリースによる節税にストップがかかったのです。

 

この節税ストップは、この法人税法施行令だけではなく、下記の税制でもNGになりました。

(1)20万円未満の資産について、法定耐用年数に関係なく、3年間均等償却ができる「一括償却資産の損金算入制度」

(2)30万円未満の資産について、一括で損金=費用にできる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

 

このオペレーティングリースによる絶税は足場以外に、ドローンやLED照明などを用いて使われてきましたが、あまりにも行き過ぎた節税とのことから、今回メスが入りました。

 

誰か法の制度を巧みに使って節税を考案し、これを当局が潰す・・こんなイタチごっこがこれからも続きそうです。

 

  (文責:社員税理士  小竹 勝)

 

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