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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 令和4年度住宅ローン控除の改正 控除率縮小で改悪になる!? ◆

2022年1月12日 BLOG

■改正の背景

先般会計検査院は住宅ローン控除の控除率「1%」を問題視していました。

実際に税務署に赴き住宅ローンの現状を調査し、1%を下回る金利で住宅ローンを利用している人の割合が約8割に上っており住宅ローン控除額がローンの支払利息額を上回る「逆ザヤ」の状態となっていたことがその理由です。

 

これを受け令和4年の税制改正では控除率は1%から0.7%まで下がりましたが実際に変動金利では0.3%台の住宅ローンも存在し、逆ザヤは完全に解消はされていない状況です。

 

 

■【改正の要点】

本改正の要点を4つにまとめました。

▼年末のローン残高の1%としていた控除率を0.7%に引き下げる。

▼所得要件を3,000万円以下から2,000万円以下にする。

▼残高の上限を環境性能で4つに分け、新築は段階的に引き下げ(中古は変更なし)

▼控除が受けられる期間を「新築・中古ともに10年」から新築は13年間、中古は10年間とする。

 

■実際にはどのような影響があるの?

 住宅販売会社の上司と部下の会話から、この改正がこれから住宅ローン借入で購入する消費者にどの様な影響を与えるか、探っていきましょう。

 

上司A「(ニュースをみて)予想通り控除率が下がったな」

部下B「えぇ。せっかく21年は住宅市場が好調だったというのに。住宅ローン控除の改悪で需要が冷めてしまったら、困るなぁ」

上司A「本当にそうか?住宅市場の活性化は価格も含め複数要因あるけど、控除率の引き下げは本当に消費者にとって痛手かな?」

部下B「だって、控除期間が10年→13年に延びたからといっても、ローン残高上限と控除率が下がったじゃないですか、だから新築一般の住宅であればこれまで借入限度額4,000万円×1%の40万円が10年の計400万円(これに加え、消費増税・コロナ特例による13年間の控除特例はある)が所得税住民税から控除されたのに改正で3,000万円×0.7%の21万円が13年計273万円しか控除できないことになるじゃないですか」

上司A「確かにそうだな。けどそれは計算上の最大控除額だな。実際の控除額はどうかな?」

部下B「え?」

上司A「まず住宅ローンの借入金額だがおおよその目安は年収の5~7倍といわれているんだ。実際には年齢・勤続年数・就業形態等総合的に審査されます)そして金利は変動も固定も2022年1月時点では控除率0.7%よりおおよそ低い状況だ。

部下B「詳しいですね!」

上司A「では年収500万円、借入金額3,500万円で改正前と改正後の実際控除額はどうなる?

(年収から差し引かれる控除は給与所得控除、基礎控除と社会保険料控除のみとし、借入期間は35年、0.5%の固定金利として計算)

部下B「えーと、(カチャカチャ…)まず、住宅ローン控除をする前の税金は所得税138,300円、住民税243,000円、合計381,300円です。次に、毎年の住宅ローン残高は年末1年目3,408万円、2年目は3,316万円、………9年目2,657万円、10年目2,561万円です。これに控除率を乗じて、さっき計算した住宅ローン控除前の税金から控除すると、、、あれっ?控除額が大き過ぎて引ききれない!」

上司A「そう、控除できるのは実際に納める所得税138,300円と住民税は最大136,500円までだから合計で274,800円。1%の控除率だと340,800円(3,408万円×1%)控除可能なんだけど最大限恩恵を受けていたわけではないんだ。最大限恩恵を受けるのは、借入残高の1%である267,500円が274,800円を下回る9年目からだ。一方、に今回の改正だと実際に納める所得税138,300円と住民税最大控除額97,500円(この点も最大136,500円から控除可能額が改正されました)の合計235,800円だから0.7%の控除率だと2年目232,100円(3,316万円×0.7%)で納める税金を下回って最大限住宅ローン控除の恩恵を受けて、更に従来より11~13年目の3年間も残高の0.7%分の控除が増える。

部下B「なるほど、改正前だと10年間で272万円、改正後では13年間で258万円になります。

上司A「もちろん、収入や扶養親族も変わるし、金利の変動も極端な例だったが、中間層には大きな影響はないとみていいようだ」

部下B「中間層ですか。」

上司A「そう。一般的には高所得層の部類に入る年収800万円、借入金額5,600万円で一般の住宅を試算すると控除額は従来より大きく減ってしまいそうだ。逆に年収400万円だと、これまでより控除額が増えるといったケースもありそうだ。」

部下B「改正点で言えば令和4年・5年を居住年とする借入限度額は環境性能によって4段階あり、認定住宅はこれまで通り5,000万円、ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)は4,500万円、省エネ基準適合は4,000万円。カーボンニュートラル促進のため、これまでの一般住宅と区別されたと言われていますね。」

上司A「ZEHや省エネ適合は借入残高の限度額はそのまま、もしくは微増だけど控除率が0.7%に下がるという影響は大きく、これまでより恩恵は小さくなる。それでも逆ザヤは解消されてないけどね。これからは住宅ローン控除だけでなく現在・将来の住宅価値や返済計画がよりいっそう重要になるのではないか」

部下B「そうですね、複合的に考える必要はありそうですね。早速お客様に説明できる資料を作らなきゃ!」

 

■まとめ

金利の逆ザヤを一部解消し、高額所得者には負担をより求めるという改正になりトータルの控除額は一般的に所得中間層(定義は様々ですが年収400万円~600万円)にとっては影響があまりないと言えそうです。

 

 

(文責:松岡 陽介)

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