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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 路線価発表と相続時精算課税 ◆

2025年7月14日 BLOG

令和7年(2025年)の路線価が発表され、相続税対策において特に注目されるのが「相続時精算課税制度」を活用した節税戦略です。以下に、最新の路線価動向と相続時精算課税を使った節税のポイントをまとめました。

――令和7年 路線価の動向――

・全国平均で前年比約2.7%上昇:4年連続の上昇で、地価の上昇傾向が続いています

・都市部の上昇が顕著

・一部地域では下落

この上昇は、相続税評価額の増加=納税額の増加につながるため、早めの対策が重要です。

 

――相続時精算課税制度とは?――

1.原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

2.累計2,500万円まで非課税で贈与でき、それを超える部分には一20%の税率を乗じて贈与税を算出します。

3.選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に届出が必要です。

4.相続時に相続時精算課税適用財産を合算して相続税を計算して過不足を精算します。

――相続時精算課税を使った節税戦略――

  1. 地価上昇前に贈与

今後さらに地価が上がると予想される地域では、早めに贈与して評価額を固定することで、相続時の評価額上昇リスクを回避し将来の相続税を抑えられます。

 

  1. 収益物件を贈与

収益物件を贈与することで、賃貸料を子に移転することができ、将来の相続財産の増加を抑えることができます。また、子が賃貸料を得ることで、将来の相続税の納税資金を自ら準備できるようになります。生前に財産の帰属を明確にすることで、相続人間の争いを未然に防ぐことができます。

  1. 相続時精算課税と基礎控除の併用

2024年(令和6年)1月より、相続時精算課税制度にも「年110万円の基礎控除」が新設されました。相続時精算課税適用財産は、相続時に贈与時の評価額で相続財産に加算されますが、110万円の基礎控除分は加算されません。

――注意点――

・一度相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に戻れないため、長期的な視点で判断が必要です。

・贈与時よりも相続時に評価額が下がっていると、結果的に損をすることもあります。

・相続時精算課税制度を使って土地を生前贈与した場合、その土地は小規模宅地等の特例は適用できません。

 

以上、相続時精算課税制度を適用するかどうかの判断は、贈与の目的・財産の種類・将来の相続税負担・家族構成などを総合的に考慮して行う必要があります。

社員税理士 庄司 真弓

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