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朝日だより

会社人事権のお話~TVドラマからの考察~

2021年02月09日 朝日司法書士法人

会社の役員について基本的なことを解説します。

昨年はドラマ「半沢直樹」が大ヒットしましたね。会社内のドロドロとした権力争いがあって、常に裏切りや騙し合いがある中、理想と現実のギャップに打ちのめされつつも奮闘し、逆境を跳ね返す、そんな熱い社員の姿に感動を覚えました。私もはまりました。
そこでよくあったシーンに、荘厳な役員会議室での取締役会シーンがありました。銀行が舞台なので頭取を中心として数十人の役員が取り囲むように着席し様々な経営上の議論を交わすシーン。そこでは、ある取締役の業務上の失態につきその責任追及をするというのがよくありました。

ある取締役が失態を犯すことで、その取締役は出世争いからは脱落、もう会社にはいられなくなり、子会社へ出向させられる処分となる。・・・

ドラマの話なので楽しんで見ていましたが、ここに専門的な見地での解説を入れてみようと思います。

 

取締役として失敗した者は取締役会の決議で取締役の職を解かれ、子会社へ出向(島流し)することが可能なのか。

答え:一部に誤りあり。

 

取締役は株主総会にて選任されます。つまりは株主による決議での選任です。株主が選んでいるのです。そして、選任できる以上解任するのも株主総会ですることになります。
選解任権は株主総会にあるので、取締役会では取締役を解任できません。(ここが誤り!株主が選んだ者を取締役等が解任できるのはおかしいですものね。)

従って、ドラマの中で処分された取締役は、自ら取締役を辞任し、子会社へ出向したものと解釈しました。もしくは任期があと少しであればそのまま籍だけおいて任期満了まで役員の職務はしない、とかもあり得ます。(任期満了になると自動的に退任となります。)

ちなみに代表取締役は、取締役会で解任できます。
代表取締役は一般的に取締役会で選任されるからです。(一部の会社に例外あり。取締役会を設置していない会社等。)
取締役会で選任できる以上解任も可能ということです。但し、「代表」を解任できるだけで「取締役」としては解任できないことは先の説明と同じ。

子会社への出向については、取締役という役職についての処分ではなく、社員(従業員)としての位置づけでの処分行為ですので、これは会社内の経営判断の1つ(単なる従業員の配置換え)として取締役会での決定でされることでしょう。ドラマでは副頭取(副社長)も出向していますが、社長・副社長・専務・常務等は従業員としての序列を表した役職であり内部規定にすぎません。(法的な根拠のない内部規定なので取締役会で処理できることに)

こうして見てみると、あの錚々たる重役の面々は会社のトップとしてとても偉そうに、そして役員会議(取締役会)は会社の全ての人事権を決定しているような感じで放送されていますが、取締役は株主総会で選ばれている、つまり人事権は株主総会にあること(いつでも株主総会で解任させられる危うい立場でもあること)は知っておいて下さい。

 

整理すると、
取締役等の役員人事は株主総会専権事項。
社長・専務・常務等の役職人事は取締役会専権事項。

先のドラマのシーンではこの2つが一緒になっていたので、つい解説したくなりました。

部下のいる方は倍返しされないように注意しましょう(笑)

 


                             
(朝日司法書士法人 山口 亮二)

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