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朝日だより

生命保険を利用した相続税対策と注意点(朝日税理士法人だより資産税版Vol.138)

2022年05月01日 朝日税理士法人だより 資産税版

1.生命保険を使った相続税対策

 多くの方が生命保険に加入しているかと思います。相続税法上、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりますが下記のような特徴があります。

≪死亡保険金の特徴≫

・「500万円×法定相続人の数」の相続税の非課税枠がある。

・死亡保険金はみなし相続財産であり、相続財産ではないので遺産分割の対象とはならない。

・一般的に預金の解約手続きよりも手続きが早く済み、納税資金や当面の資金が確保しやすい。

 

2.小規模企業共済を使った相続税対策

保険と似た制度で、小規模企業共済制度というものがあります。小規模企業共済とは、小規模企業の役員や個人事業主が加入することができる退職金制度です。

生存中に退職金として受け取ることもできますが、死亡時に受け取る場合「死亡退職金」として生命保険の非課税枠とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

 ただし、小規模企業共済は生命保険と異なり、受取人を指定することはできず、決まった順位(第一順位者:配偶者、第二順位者:子など)に応じて共済金が支払われることになります。

 

3.相続財産や贈与となるケースに注意

 死亡保険金の中でもみなし相続財産となるものは下表1の契約形態です。

表1

被保険者 A(被相続人)
保険料の負担者 A(被相続人)
保険金受取人 B(相続人等)

≪注意点≫

・保険金受取人が法定相続人以外の場合

 前述した生命保険金の非課税枠が使えず受取保険金全額に相続税が課税されます。

 また、保険金を受け取った人が一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)や配偶者以外の人だった場合には、相続税額2割を余分に納めなければなりません。

 生命保険は、受取人を自由に選べることがメリットですが、受取人の指定によって思わぬ税金がかかる可能性がありますので注意が必要です。

 

・贈与となる場合

 保険料を負担していない人が、生命保険金を受け取った場合、保険料負担者から保険金受取人への贈与があったものとされ、贈与税の課税対象となります。

 また、契約途中で保険料負担者を変更した場合にも注意が必要です。保険料負担者を変更した時点では課税されません。しかし、被保険者が死亡したり、保険期間が満期になったとき等に保険金受取人が保険料を負担していない期間部分について、按分して贈与税の課税対象となります。

 

・相続財産となる場合

生命保険の契約に入院保険金等の特約が付帯していることがあります。入院給付金等の受取人が被相続人になっている場合、死亡後に支払われた入院給付金等は相続財産となり、みなし相続財産とはならないため注意が必要です。

また、親が子のために保険を掛けてくれている等のケース(表2)では、相続財産として相続時点での解約返戻金相当額に相続税が課税されます。

表2

被保険者 B(相続人等)
保険料の負担者 A(被相続人)
保険金受取人 B(相続人等)

この場合も、みなし相続財産には該当しないので、前述した非課税枠は使えません。

 

4.おわりに

 保険には多くの種類があり、課税関係もさまざまです。思わぬ税金がかかる可能性もあります。    

 保険に係る課税関係について、ご不明点・心配なことがありましたら、遠慮なく朝日税理士法人にお問い合わせ下さい。

(文責:山﨑祐未)

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