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朝日だより

令和5年度税制改正大綱(朝日税理士法人だよりVol.216)

2023年03月01日 朝日税理士法人

令和4年(2022年)12月16日に、「令和5年度税制改正大綱」が発表されました。税制改正大綱とは、各省庁や各種団体から提出された税制改正の要望を取りまとめたもので、2月に審議され、3月に成立、4月から施行という流れになります。

今回は、【法人課税】【所得課税】【消費税】の項目の一部をご紹介いたします。

なお、【資産課税】につきましては令和5年1月1日号の朝日税理士法人だより(資産税版)にてご紹介しておりますので、そちらも併せてご確認ください。

 

【法人課税】

研究開発税制の見直し

研究開発税制とは、企業が研究開発を行っている場合に、その年に支払った試験研究費の額に応じて法人税から税額控除を受けられる制度です。

今回の改正では、試験研究費が受けやすくなるよう、税額控除率の下限の引下げ(現行:2%→1%)を行うとともに、試験研究費の増減割合に応じて税額控除の上限を変動させる制度(現 行:25%→20%~30%)が設けられます。

また、試験研究費のうち新たなサービスの開発に係る一定の費用について、既存のビッグデータの活用も対象として認められます。

 

企業による先導的人材投資に係る税制措置

法人が大学、高等専門学校又は一定の専門学校を設置する学校法人の設立を目的とする法人に対して支出する寄附金であって、その設立のための費用に充てられるものを「指定寄附金」として損金の額に算入することができるようになります。

 

オープンイノベーション促進税制の見直し

オープンイノベーション促進課税とは、スタートアップ等への出資額の25%を課税所得から控除するもので、これまでは発行法人の株式を出資の払込みによる取得する場合に限られていました。

今回の改正で、発行法人以外の者からの購入により取得した株式で、その取得により総株主の議決権の過半数を有することとなるものを、税制の対象となる特定株式に加えることとなります。

 

【個人所得課税】

NISAの投資枠拡充と制度の恒久化

新たなNISA制度では、年間の投資上限額が「つみたて投資枠」120万円、「成長投資枠」240万円、合計で360万円となります。また併用が可能となり、一生涯にわたる非課税限度額は、累計1,800万円(うち成長 投資枠の累計は1,200万円)まで大幅に拡充されます。さらに非課税となる保有期間は無期限となり、制度の恒久化が図られます。

なお、従来の「一般NISA」や「つみたてNISA」で投資をしている方も、それに上乗せして上限額まで投資可能です。

 

スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設

個人投資家がスタートアップに出資した際に、株式売却で得た利益をスタートアップへの再投資や起業に使う場合、20 億円を上限として株式譲渡益に課税しない制度が創設されます。

 

高所得者の税負担を適正化

税負担の公平化の観点から、極めて所得が高い個人についての所得税の課税が強化されます。(基準所得金額-3.3億円)×22.5%が基準所得税額を超える場合は、その超過した差額が上乗せされて所得税が課税されます。令和7年分以降の所得税から適用となります。

 

【消費課税】インボイス

小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置

これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合には、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置が講じられます。 

なお、簡易課税選択届出書を提出している場合においても、申告時に2割特例か簡易課税のどちらを適用するか選択が可能です。

 

中小事業者等に対する事務負担の軽減措置

一定規模以下の事業者の行う少額の取引につき、インボイスの保存が無くても帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策が講じられます。

 

少額な返還インボイスの交付義務の見直し

税込価格が1万円未満の売上返還については、返還インボイスの交付義務が免除されます。

 

これ以外にも様々な改正がございます。ご興味のある方は、弊社担当者までご連絡ください。

(文責:小田原事務所 坂井絵美)

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