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朝日だより

【新型コロナウイルス拡大と不可抗力】

2021年01月12日 朝日弁護士法人

 緊急事態宣言が発令されようとしています。このコラムを書いている時点でその具体的な内容までは分かっていませんが、必要だとは思っていても、その影響は大きいものになりそうです。

 

 知人が昨年の緊急事態宣言により結婚式の日を延期したのですが、今回の第3波により、あえなく中止になりました。
予約が急になくなって、飲食店の方々の落胆ぶりたるや。
出社人数を減らしたから、工事の工期が遅れたとか、商品の納期が遅れたて困ったという相談も。
「しょうがない。」そうですね。コロナなんだからしょうがない・・・。
結婚式をキャンセルしなきゃいけないのも、店の予約がキャンセルされてしまうのも、工期や納期が遅れるのも。

 

 「しょうがない」というのを、法律的には「不可抗力」といいます。
不可抗力事由とは、「自然現象や社会現象など人の力による支配・統制を観念できない事象」とされています。地震・洪水・落雷等の予見不可能な天災のほか、戦争等が挙げられます。このような場合、当事者に責めがないので損害賠償請求を免れるのです。
不可抗力事由による免責は、多くの場合契約書に明記されていますので、皆さんも目にしたことが多いと思います。

 

 では、新型コロナウイルスは不可抗力だから、「しょうがない」といえるのでしょうか。
契約書に不可抗力に関する記載があっても、「天災地変その他不可抗力」などと抽象的に書かれていることが多く、「感染症や疫病」が不可抗力であると記載されていることはほとんどないと思われます。今回のような事態は想定していなかったのですね。
そのため、結局、不可抗力だから、責任を負わないといるかどうかは、ケースバイケースとしかいません。契約内容、緊急事態宣言による影響、業界動向等を踏まえて個別判断することになります。


 
 このようなとき、重要なのは証拠です。問題が生じそうな場合には、単に口頭でやりとりするのではなく、議事録や書面、メールなどを証拠に残し、後に、自身に責任がないといる証拠を残すようにして下さい。
また、契約締結時において当事者が、そのリスクをどこまで想定し得たかも考慮要素になると思われます。今後、契約を新たに締結する場合には、新型コロナウイルスの影響下にあることを前提に契約内容を決める必要があると思われます。
令和2年4月1日付けで民法改正が施行されました。契約書を新民法に対応させる必要もあります。是非とも契約書の見直しも行ってみて下さい。

 

 新しい生活様式が叫ばれる昨今、コロナの流行は既に想定の範囲内になってしまうのか。
この生活がスタンダードになってしまわないことを願います。

 

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 ◇ 朝日弁護士法人 ◇

 代表弁護士 福井 康朝

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