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朝日だより

消費税の還付申告、調査が強化されております(朝日税理士法人だよりVol.205)

2022年04月01日 朝日税理士法人

1. 国税庁から「消費税還付申告の対応」の文書が公開

 消費税還付申告につき、還付審査での調査の必要性や還付保留が長期化する可能性が高まっています。

 1月21日に国税庁から「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」という文書が公開されました。その内容は「消費税の課税対象や非課税といったそもそもの消費税取引の誤りや固定資産など金額の大きい消費税を支払ったものとされる時期の誤りが見受けられる」「還付の原因を確認するため、行政指導として電話等により根拠書類の提出を依頼したり、実地調査をしたりすることもある」「確認に時間がかかれば還付の保留期間は長期化する」といったものです。背景には、取引実態の確認が困難である場合や不正還付事案が増えていることがあり、書面上で不正を見つけることは難しく、国税当局は申告後の調査を強化し、国税庁は納税者の理解と協力を呼びかけています。

 

2. 消費税の還付の仕組みと還付される条件

 消費税は原則「預かった消費税」から「支払った消費税」の差額を申告し納税いたします。そもそも消費税の還付申告はどういったケースで行われるか、主な3つのケースを紹介いたします。

1)赤字や一時的に仕入れがかさむ場合

 赤字の場合や一時的に仕入れや経費がかさみ収益が遅れて発生した場合は「預かった消費税」より「支払った消費税」が多くなり、還付を受けることができます。

2)建物や設備投資など高額資産を購入した場合

 建物の購入や設備投資など高額の資産を購入した場合は支払う消費税が多くなるので、還付される可能性があります。ただし居住用の家賃など非課税の売上がある場合は「支払った消費税」が大きくても

「預かった消費税」との対応がなく、多く支払った消費税の差額の還付をまるまる受けられるわけではありません。

3)輸出業を営み、売上がほとんど免税取引の場合

 輸出取引では消費税が免除されるので、輸出業の場合は売上に対し消費税は発生しません。しかし仕入を国内で行う場合は消費税を支払うことになるので、支払った消費税のほとんどは還付されます。

 

3. 消費税不正還付の手口

1)猫の仕入30億円 

 血統書付の猫を合わせて30億円架空計上し、約2億円の還付申告を行い、実際に還付された事案があります。仕入れた数や単価が事業規模に見合わないにもかかわらず、使いまわしされた血統書が根拠書類として利用され還付されてしまいました。

 

2)国際郵便で輸出偽装

 国際スピード郵便(EMS)では20万円以下の商品を輸出する場合、手続きをせずに発送伝票に商品名や重さなどの必要事項を記入すれば荷物を送ることができ、令和3年9月までは伝票の保存義務もありませんでした。そこに付け込み、商品を仕入れず、郵便も出さずに虚偽の還付申告を行い還付された事例もあります。申告時には仕入先を申告書に書く必要がありますが、取引を証明する書類の添付が不要であったため、実態なき申告に対し還付されてしまいました。

 

4. 国税庁はジレンマからの脱却

 還付が遅れれば納税者に迷惑が掛かる上、利子相当の「還付加算金」を支払わなければならないため、申告内容の精査と速やかな還付が同時に求められる現状が不正還付続発という事態を招いてしまったと考えられます。こうした状況を踏まえ、昨年、還付申告対応の文書公開や不正還付に特化した「消費税専門官」を全国11税務署さらには国税局内部に配置し体制強化を図りました。

 

5. 納税者の対策

 申告時に取引先や金額を記載した明細とともに証憑を添付し、税務署が申告書との整合性に疑念を持たないようにすることや、問い合わせがきた際には説明内容や書類を整理することが重要です。中小企業では、実際に還付される時期によって資金繰りに大きな影響を及ぼします。消費税の還付申告を行う際には、事前に書類の整備や顧問税理士との打合せを入念に行いましょう。

(文責:関内本店 松岡陽介)

 

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