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朝日だより

平成30年度税制改正大綱(個人所得課税・法人課税)(朝日税理士法人だよりVol.155)

2018年02月01日 朝日税理士法人

    平成29年12月14日に平成30年度税制改正大綱が発表されました。今回は個人所得課税、法人課税の項目をご紹介いたします。なお、資産課税の項目については、朝日税理士法人だより(資産税版)にてご紹介しておりますので、そちらも併せてご確認ください。

【個人所得課税】
    給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、基礎控除の控除額が一律10万円引き上げられます。その他、下記のような調整が織り込まれ、高所得者にとっては増税となる改正内容となっています。

(1)給与所得控除
     給与収入が850万円を超える場合の控除額が現行の220万円から195万円に引き下げられます。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置が講じられます。

(2)公的年金等控除
     公的年金等収入が1,000万円を超える場合の控除額に195.5万円の上限を設けます。また、公的年金等以外の所得金額が1,000万円超の場合は、控除額が引き下げられます。

(3)基礎控除
     合計所得金額2,400万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みとします。

(4)青色申告控除
     正規の簿記の原則に従って記録している者に適用される青色申告特別控除について、その控除額が現行65万円から55万円に引き下げられます。ただし、次の要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額は現行どおり65万円とすることとしています。

イ)その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること。

ロ)その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。

【法人課税】
    所得拡大促進税制や租税特別措置法の適用要件の見直しが行われ、賃上げと生産性向上のための投資を促す内容が織り込まれています。

(1)所得拡大促進税制
 大企業向けについては、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加、②国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上等の要件を満たす場合に、給与等支給増加額について税額控除ができる制度となります。また、中小企業向けについては、設備投資に関する要件はなく、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上増加等の要件を満たす場合に給与等支給増加額について税額控除ができる制度に改組されます。これまでの基準年度という考え方がなくなっており、毎年継続して制度の適用を受けるためには、常に対前年3%(中小1.5%)の増額が求められるので、現行制度よりも要件が厳しくなった印象をうけます。新しい制度は平成30年4月1日以降開始する事業年度から適用される予定ですので、例えば決算賞与の支給を予定されている場合など、今期の経費とするか来期の経費とするかで、その有利不利を検討する必要がありそうです。

(2)コネクテッド・インダストリーズ税制
    コネクテッド・インダストリーズ税制(情報連携投資等の促進に係る税制)を創設し、革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づく設備投資に対して特別償却又は税額控除を可能とします。対象は5,000万円以上のソフトウェア投資で、セキュリティ専門家の確認要件がありますので、大企業向けの制度といってよいでしょう。

(3)租税特別措置の適用要件の見直しを行い、大企業について、所得が前期の所得以下の一定の事業年度を除き、  ①平均給与等支給額が前年度を超えること、②国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること、の要件のいずれにも該当しない場合には、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないこととされます。

以上、紙面の関係上、改正項目の全てをお伝えすることはできませんが、これ以外にも様々な改正がございます。ご興味がある方は弊社担当者までご質問ください。

                                                                                     (文責:関内本店 亀井久義)
  

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