NEWS FROM ASAHI

朝日だより

つみたてNISA(朝日税理士法人だよりVol.151)

2017年10月03日 朝日税理士法人

  NISAは2014年に始まった制度で、導入時、金融機関が大きく宣伝して鳴り物入りで登場した制度です。NISA口座で発生した利益は全て非課税という制度ですが、非課税で投資できる期間が5年間(最大10年間)と短く、長期投資に必ずしも適した制度とはいえませんでした。

 そこで政府は、NISAをさらに普及させるために、2018年から新制度「つみたてNISA」をスタートさせます。受付開始は2017年10月です。政府は当初、NISA一本で行く予定だったようですが、NISAは仕組みが少しわかりにくいという理由もあり、新しく「つみたてNISA」が創設されました。少額からでも積立・分散投資ができる若年層向けの制度として設計されているのも大きなポイントです。ちなみに、つみたてNISAは現行NISAに置き換わるものではなく、現行NISAもそのまま継続されます。私たちはどちらか一方を選択することができる仕組みとなっています。

    つみたてNISAは現行NISAと同じく、国内在住の20歳以上の方が対象となります。

   その他、つみたてNISAの特徴は大きく4つあります。

1毎年設定される「非課税投資枠」ですが、現行NISAが120万円であるのに対して、つみたてNISAは40万円となっています。1年間の非課税投資枠が減額されることで、これまで120万円の投資枠をフル活用していた人にとってはデメリットですが、一般的なサラリーマンにとっては大きな問題にはならないと思われます。

2現行NISAで購入した株式・投資信託などは5年以内に売却することを条件に非課税となります。(ロールオーバーを使うことで最大10年まで延長可能。)一方で、つみたてNISAは非課税保有期間が20年間と大きく拡大しており、より長期目線での投資を考えた設計になっています。つまり、購入した投資信託が多少値下がりしても気にせず保有し続けられ、買ってから20年以内に一度でも値上がりし、利益が出せる状態になれば、誰でも儲けを出せるチャンスが得られます。売却はいつでも自由に行えるので、大きく値上がりして換金したいときは「売る」という選択もできます。

3現行NISAは2014年から2023年までの期間限定で行われますが、つみたてNISAは2018年~2037年までの20年間の実施を予定しています。(現行NISAが2023年で終了するのか、延長されるのかは現時点ではわかりません。2023年以降は現行NISAが終了し、つみたてNISAに一本化される可能性もあります。)

4現行NISAでは上場株式も対象となっていましたが、つみたてNISAで扱えるのは投資信託のみ(ETF含む)になるようです。投資信託を購入することで、運用をプロに任せることができるのはメリットですが、個別株に投資ができないため、株主優待や配当金という楽しみが得られないのは、つみたてNISAのデメリットです。
    また、つみたてNISAは金融庁主導で設計されていますが、金融庁は証券会社や銀行などに対して、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)に則した顧客本位の商品のみを扱うことを強く指導しています。そこで、金融庁はつみたてNISAで扱う商品(インデックスファンド、アクティブファンド、ETF)に厳格なルールを設け、一定の要件を満たさない投資信託(例えば販売手数料が有料のものや、信託報酬の高いものなど)については、つみたてNISAの商品として扱えないようになっています。

 資産運用が初めての人や知識がない人は、どの投資信託を購入してよいかわからないと思います。しかし、金融庁が設定したこのルールによって、資産運用が初めての方でもつみたてNISAでは安心して商品を選べる制度設計になっているのです。

 あくまでも投資なのでリスクが伴いますし、最悪の場合、元本割れの可能性もあることは事実です。しかし、資産運用のひとつの選択肢としては考えてみてもいいかもしれません。

                                                                                                                 (文責:関内本店 上久保正通)

 

カテゴリー

月別アーカイブ