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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 来年10月以降の免税事業者へのお願いの仕方 ◆

2022年7月12日 BLOG

◆ 来年10月以降の免税事業者へのお願いの仕方 ◆

 

Q:令和5年10月以降、免税事業者からの仕入れは税額控除ができなくなるね

 

A:できなくなるからといって無理なお願いをすると下請法等に抵触するから注意が必要だよ

 

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【インボイス制度と免税事業者】

令和5年10月1日より、インボイス制度が導入されます。

これが導入されると、インボイス番号が付いていない請求書については、買手側はその請求にかかる消費税を自身が税務署に納税する消費税から控除することができなくなります。

このようなことが生じてしまうと、売手である事業者は、買手である得意先に迷惑をかけてしまうので、インボイス番号付きの請求書を発行することになります。

 

でも、このインボイス番号を付すためには一定の要件があります。

それは、消費税申告書を税務署に提出していることです。

よって、売上高1000万円以下の消費税免税事業者は、消費税の申告書を提出していないためインボイス番号を得ることができなくなります。

 

そうなってしまうと、買手は免税事業者から仕入等しても、その仕入にかかる消費税控除ができなくなり、免税事業者に対し、これまでどおりの取引が行いづらい状況になることが予想されます。

 

令和5年10月1日にいきなりそのようなことになると、混乱が生じてしまうので、下記のような措置が設けられています。

★インボイス制度が導入されてからの3年間(令和5年10月~令和8年9月)・・8割だけ控除できる。

 

★上記後3年間(令和8年10月~令和13年9月)・・5割だけ控除できる

 

★上記以降・・控除できない

 

このように段階的に控除額を下げ混乱防止を図るカタチを取ります。

 

【“課税事業者になって”とか“値引きして”ってお願いしてイイの】

このように段階的に下げるものの、買手の控除額が減るため、その分消費税納税額が大きくなります。

このようなことから、買手側は、免税事業者に対し

「免税事業者をやめて→課税事業者になって欲しい」

「課税事業者になって→インボイス番号を得て欲しい」

このような意向を持つようになります。

 

もしくは、

「免税事業者のままで居るなら、これまでよりも安く納品して欲しい」

このような意向を持つようになります。

 

そうなると、買手は、免税事業者に対し「インボイス番号の取得」や「値引き」を要求することが予想されますが、これについては、買手という強い立場である者が、仕入先等に対し、強要してしまうと「下請法」等に抵触するので注意が必要になります。

 

そこで、今回は、免税事業者に対し「インボイス番号の取得」や「値引き」を要求する場合どのような点に注意すべきかを下記に説明します。

 

【下請法等に抵触しないお願いの仕方】

(1)Q:インボイス番号付き請求書を発行してもらうために、「免税事業者をやめて下さい」と要請しても良いか?

 

   A:要請すること自体は、あくまでもお願いであり、下請法等には抵触しないと考えられます。

     但し、インボイス番号付き請求書を発行できない(=免税事業者をやめない)と取引を継続しないことを示唆するような場合は、

     優越的地位の乱用など下請法に低極する可能性があります。

 

(2)Q:インボイス番号付き請求書を発行できない場合は「値引きして欲しい」とお願いしてもよいか?

 

   A:仕入側にとっては、これまでできた控除ができなくなるので、インボイス番号を付すことができない場合は、

     値引きを要求したくなる気持ちは良くわかります。よって、お願いすること自体は下請法等に抵触しません。

     ただし、免税事業者側の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の負担を考慮(※)した上で、

     双方納得の上で取引価格を設定することが求められます。

 

※:免税事業者側の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の負担を考慮・・とは

例:免税事業者が税込み77円で仕入れたモノを、貴社に110円で販売していた場合

 

・貴社:「免税なんだから110円ではなく10円値引きして100円で販売して下さい」

・免税事業者:「それは困ります」

 ↑

これは「考慮していない」ので抵触する可能性あり。

 

・貴社:「10円値引きして欲しいところだけど、そちらは仕入に際し7円の消費税の負担をしているので、10円-7円=3円だけ値引きして下さい」

・免税事業者:「考慮していただきありがとうございます」

 ↑

これは「考慮しているので」OK

 

(3)Q:取引がある多数の免税事業者に対し「今後●%の値引きをお願いします」という通知を一斉に送ってもよいか?

 

   A:お願いベースの通知をしたあとに、これに応じることが出来ない仕入先等に対し、

     個別に協議するということであれば下請法等に抵触しません。

     ただし、下記の点に注意が必要です。

 

★提示する値引き率等

各免税事業者の仕入れにかかる消費税の平均的な負担額などを考慮して計算した値引き率であること

 

★通知(お願い)の方法

○月○日までにご連絡ない場合は、当該条件にて合意したものとみなします。」といった一方的な書面を送付はNG

 

★例えば承諾書形式にする

「当該条件にて合意いただける場合は承諾書をご返送ください。」などを記載し、承諾書を返送してきた仕入先免税事業者については値下げを行うといった対応をとるインボイス制度が導入されると、免税事業者からの請求書については税額控除の制約が入り将来的には控除が出来なくなります。

これについては、買手側の消費税負担に直結するため色々と心配があろうかと思いますが、一方の免税事業者は

「今後も継続取引ができるだろうか」

「大きな値引きが要求されてしまうのではないか」

「取引を切られてしまうのではないか」

といった不安や心配があります。

よって、このような免税事業者の心情や経済的状況を鑑み慎重な対応が求められると思いますので十分にご注意願います。

 

(文責:社員税理士  小竹 勝)

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