◆ 大家さんが家賃を下げたら・・どうなるの ◆
Q:個人の大家さんが家賃下げても持続化給付金の対象にはならないよ
A:でも、税金の取り扱いにはチキンと対応してくれるみたいだよ
【持続化給付金の対象にならないけど・・】
コロナの影響で法人や個人事業者等が、前年度の売上に対し50%以上減収した場合など一定の要件を満たす場合、法人については200万円、個人事業者等の場合は100万円を限度として持続化給付金の支給を受けることができます。
さて、この持続化給付金、アパートやテナント物件などの不動産経営を営む場合、その経営を法人で行っているか、それとも個人で行っているかによって大きな差が生じます。
法人において不動産経営をしている場合は、給付金の対象となる。しかしながら(なんと!)個人で不動産経営をしている場合は対象にならない。同じ不動産経営なのに何故?
その理由は・・・
持続化給付金の目的を杓子定規に当局が捉えているためです。
この給付金は、コロナの感染拡大により事業継続に大きな影響が生じてしまった事業者に対して事業を継続させ、再起の糧とするための事業資金として支給することを目的としております。
当局によれば・・
法人は商いをすることを旨としているので、不動産経営は事業に該当する。でも、個人の不動産経営は所得税法上、事業所得ではなく不動産所得に該当するので、事業ではなくその対象としない・・・という理屈のようです。
同じアパートや同じテナント賃貸物件にかかる不動産経営をしていても、法人の場合は支給され、個人の場合は支給されないという変な理屈がまかり通っています。個人の不動産経営者に対して意地悪をしているといっても過言ではありません。
【家賃を下げた場合、税金は意地悪するの?】
飲食店店主賃貸人:「コロナの影響で売上が激減してしまった」
アパート賃貸人:「コロナの影響で給与が激減してしまった」
2人で口を揃えて「大家さん、家賃を負けてくれませんか」
個人で不動産経営をするAさんは、賃借人からこのようなお願いをされました。
「家賃が入らないと家だって困る」「でも、多少蓄えがあるので、何とかなる」「個人による不動産経営だから持続化給付金はもらえないけど、賃借人の皆さんは大変そうだから、何とか協力しよう」
Aさんは、家賃の減額に応じることにしました。
さてこの場合、税金の取り扱いはどのようになるのだろう・・・Aさんは少し不安になりました。
以前、税理士より「本来貰うべき家賃を免除したり安くしたりした場合であっても、本来貰うべき家賃を得たものとみなして税金の計算をすることになりますから注意してください」と言われたことがありました。
何故こんなことになるのか・・・税理士の説明によると税務署は下記のように考えるからとのことです。
例:本来貰うべき家賃が10万円のところ、3万円しか貰わなかった場合
(1) 「大家は一旦10万円の家賃をもらったものと」税務署は考える
(2) 「その後、この10万円のうち、7万円を賃借人に寄付した」と税務署は考える。
このような考えに基づき
(1)で10万円の家賃を得たのだから、申告書には10万円の不動産収入を計上する。
その後、7万円の寄付は不動産経営に関係の無い支出だから、収入のマイナスでもないし、不動産所得の経費でもない。
・・このように(意地悪に)税務署は考えるとのことです。(なんとも偏屈な考えです)
【コロナ禍であっても税務署は意地悪するか】
でも、コロナ禍の状況においては、税務署もさすがに意地悪はしません。コロナの影響で、家賃を下げる場合は、個人経営であっても、法人経営であっても、税金の計算上は寛大な措置をとる・・とのことです。
但し、これには一定の事由があることが必要になります。
(1)賃借人において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること
(2)賃料の減額が、賃借人の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること
(3)賃料の減額が、賃借人において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に行われたものであること
上記のような事由であれば、それは賃借人との間で正式な家賃引き下げ等の契約をしたことと等しいと考え、引下げ後の家賃をもって不動産収入とし、本来の家賃と引下げ後の家賃の差額を賃借人に対する寄付とみなすようなことはしません。
これを聞いてAさんは
「困ったときはお互い様」
賃借人の要望を聞き入れて、当面の間、家賃を引き下げることにしました。
【大家さんの心意気に対し固定資産税も応援します】
不動産オーナー(法人(中小企業者に限る)・個人)が以下の要件を満たせば、令和2年度分の固定資産税の納付額を半分もしくは全額減らすことができます。
半分減額か全額免除かは売上がどれだけ減少したかによって決まります。
(1) 半分減免するケース
令和2年(今年)2月~10月までの任意の3か月間の不動産収入等の売上の減少割合が前年同時期比で30%以上50%未満の場合
(2) 全額減免するケース
同、3ヶ月間の不動産収入等の売上の減少割合が前年同時期比で50%以上の場合減免を受けるには令和3(来年)年2月1日までに不動産の所在する市区町村に申告しなくてはなりません。の減免の申告は不動産オーナー単独では行えず、認定経営革新等支援機関に登録する専門家のサポートが必要です。
朝日税理士法人は、この支援機関でありますので、お気軽にお声がけください。
【国土交通省の資料】
今回のメルマガで取り上げた件については、国土交通のHPにも記載があります。1ぺージにまとめた(見やすい)資料がありますので、参考にしてください。
↓↓↓
https://www.mlit.go.jp/common/001342197.pdf
(文責:代表社員税理士 小竹 勝)