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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 医療費控除のあれこれ ◆

2021年1月12日 BLOG

◆ 医療費控除のあれこれ ◆

 

Q:マスクやPCR検査費、付き添い交通費って控除の対象になるのならないの

 

A:なるモノ、ならないモノ、要件次第でなるモノ・・ミニ話で解説するよ

 

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【もうすぐ確定申告】
もうすぐ確定申告の時期です。
その確定申告で一般の皆様に馴染みがあるモノに「医療費控除」があります。
今回は、この医療費控除についていくつかご案内します。

 

【通院等の交通費は対象となる】
医療費控除は、病院に支払う診療費や治療費、処方を受けた薬代などの一定の額の合計が10万円を超えた場合等において、その超えた部分の額を所得から控除するモノです。
この対象に通院のための交通費が含まれることをご存じですか。

 

【領収書は無いけど】
公共の交通機関を使った場合、通常領収書はもらいません。
では、それをどのように証するか?それは確定申告書に添付する医療費の明細書にその旨を記載することで対応ができます。
例えば、国税庁が推奨する「医療費集計フォーム」では病院や薬局などの名称欄にJRや市営バスなどの公共交通機関名を記載し、医療費の区分欄を「その他の医療費」とし、かかった交通費を記載する入力例が紹介されています。

 

【タクシー代も対象となるの】
原則としては対象となりません。
ただし、公共交通機関が動いていない深夜などに、どうしても通院の必要が生じた場合や、病気やケガの症状が重く、タクシーを利用せざるを得ない場合、突然の陣痛や高齢で歩行も難しい状態のためタクシーを利用した場合などは対象となります。

 

【通院のためのガソリン代や病院の駐車料金は】
これは対象外となります。
その理由は医療費控除の対象となるのは、「役務の提供の対価」として支払われたものに限るからです。
電車やバスであれば、運営会社等が行うサービスに対する支出のため対象になりますが、ガソリン代や駐車料金は、購入や利用に対する対価のため対象にならないのです。

 

【付き添い等の交通費は】
子供の通院に母親が付き添う場合のように、患者の年齢や病状からみて、患者を一人で通院させることが危険な場合には、付添人の交通費は対象となります。
一方、例えば入院している子供の世話をするために母親が通院している場合は、患者である子供自身が通院していないことから、その交通費は、医療費控除の対象とはなりません。

 

【あん摩マッサージなどの整体等による治療は】
リラクゼーションや健康維持、疲労回復目的の施術は対象となりませんが、治療等の目的で病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額であれば、対象となります。

その対象となる整体治療等は
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・柔道整復師
に限ります。
これに類する整体治療等で「カイロプラクティック」や「オステオパシー」がありますが、これらは国家資格ではないため対象となりません。

 

【コロナ感染予防のためのマスク代】
感染防止のために必須であるマスク・・一時は品薄で、値段も高額になったときもありましたが現在は、店先にも並び、値段も安定しております。
それでも、毎日使うものであり、各ご家庭においては相当な出費になろうかと思います。
「これって、医療費控除の対象とならないの」と思われる方は多いのではないでしょうか。
「ハイなります!」と言いたいところですが、残念ながら対象となりません。
控除対象となるのは、診療や治療のための支出であり、マスクのような感染防止=予防を目的とした支出はこれに該当しないためです。

 

【PCR検査費用は】
PCR検査費用のうち、自己負担した金額がある場合は、その検査を受けた目的によって取り扱いが異なります。

新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いがある方に対し、医師等の判断で行う検査費用は対象となります。
一方、単に感染しているか否か自己の判断で希望した検査費用は対象となりません。
ただし、検査の結果、陽性であることが判明し引き続き治療を行った場合はその検査は治療に先立って行った診察に該当しますので、医療費控除の対象となります。

このように、医療費控除は対象となるならないが若干ややこしい部分があります。
控除を受ける場合は税務署や税理士に確認して対応して行うことをお勧めします。

 

(文責:代表社員税理士 小竹 勝)

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