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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 110万円贈与が使いえなくなる? ◆

2021年2月9日 BLOG

◆ 110万円贈与が使いえなくなる? ◆

Q:110万円贈与を毎年すると相続税が節税されるね

A:今はそうだけど、今後は改正されて厳しくなるかもしれないよ

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【110万円の贈与を毎年する理由】
問題:「年間110万円までであれば税金は課されない」これは何でしょうか

多くの皆さんはご存知のことと思います。
そうです。贈与税の基礎控除枠であれば、贈与税が課されないという制度です。
基礎控除枠は上記に記したとおり「110万円」です。

この制度を使って、毎年110万円をお子様、お孫様に贈与する方がいらっしゃいます。
何故、そのようなことをするのでしょう
下記の例を使って、説明します。

資産家のAさんは、多くの財産を持っています。
Aさんの財産規模の場合、このまま相続を向かえると、高い部分で40%の相続税が課されてしまいます。

そこで、Aさんは、自分の子供3名と子供たちの配偶者3名、そして孫6名に110万円づづ贈与をします。
全員で12名になるので、@110万円×12名=1,320万円の贈与になります。
これを10年続けると1億3,200万円について、無税で子や孫等に承継することが出来ます。

もし、この贈与をしなければ、1億3,200万円×40%=5,280万円の相続税がかかるところが無税で済んでしまいます。

その節税効果を期待し、資産家の多くの方はこのような暦年贈与を行うのです。

【3年は短すぎる】
「これは、資産家への行き過ぎた優遇だ」このような意見が多くあります。
そこで、このような贈与であっても
「相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)の贈与については、相続税の課税の対象とする」
という制度があります。

でも、この制度は、法定相続人ではない孫や子の配偶者に対する贈与は適用対象外になります。(養子縁組をして法定相続人になった者等は除く)

それでも、たった3年間です。

これに対し、諸外国の例では、ドイツでは10年間になされた贈与、フランスでは15年間になされた贈与、アメリカでは全ての贈与が相続税の課税対象になります。
これらの国と比較すると日本の3年間は極めて短い期間です。

そのようなことで、今回の税制大綱では、「相続税と贈与税の一体化」を今後の税制改革の基本的な考え方の項目で触れており、暦年贈与を用いた相続税節税にメスを入れることに意欲を示しています。

そのようなことから、次年度以降の税制改正において、3年以内という諸外国に比して短いとされる期間が、7年とか10年とか長い期間に改正される可能性が(将来)ありそうです。

【改正の布石か】
その布石なのか、今回の税制改正で贈与税について下記のような改正がありました。

それは、教育資金贈与です。
この制度は、平成27年の相続税の改正の際に、導入された制度です。
このときの相続税の改正は、
・相続税が課されない基礎控除額を4割カットする。
・相続税の税率を上げる。
など、相続税の増税が中心でした。

そうなると、「資産家ばかりに厳しい増税になる」「その批判を緩和したい」という意向が働いたのか・・・「少し飴も出さないとイケナイ」ということで(筆者の推測)、子や孫に対する一定の教育資金については、1人1,500万円までは贈与税を課さないという制度を設けたのです。

110万の10倍以上である1,500万円を贈与しても贈与税が課されないということで、多くの資産家がこの制度を使い、相続税対策をしました。

「そうか、1,500万円までなら贈与税が課されないのか」ということで、相続が発生する直前に、この制度を使って孫などに、贈与をして相続税の節税を図ろうとする人が出てきます。

これを防止するために、この制度にも「3年」という期間があります。

110万円の暦年贈与と同じように「相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)の贈与については、教育資金贈与であっても相続税の課税の対象とする」という縛りが、この制度にもあります。

どのようなケースかというと
● 平成31年4月:Aさんは、孫に1,500万円の教育資金贈与をしました。

● 孫は、そのうち1,000万円を一定の教育費に使いました。(まだ500万円は使っていません)

● 令和3年1月:500万円使い切らないうちに、Aさんに相続が発生しました。


この場合、3年以内の贈与に該当するので、使いきらなかった500万円については、相続税の課税の対象となります。

「110万円の暦年贈与が3年で、その10倍以上額となる教育資金贈与が同じ3年なのは如何なものか」
ということで、今回の改正で「残高が残っている場合は、例え3年超の期間があっても相続税の対象とする」ということになります。
(ただし、贈与を受けた者が23歳未満であったり、23歳以上であっても学生の場合は対象外となります。)

このように、教育資金贈与については3年という期間が無くなってしまいました。
これは、将来の暦年贈与についてドイツやフランス並みに期間を長くする布石かもしれません。


(文責:代表社員税理士 小竹 勝)

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