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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ コロナが路線価を引き下げる ◆

2021年5月10日 BLOG

Q:大阪商業圏を中心に地価の下落が著しいと聞くよ

A:これに対応して相続税路線価の減額補正がなされたよ

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【相続税路線価とは】
相続税路線価は、相続や贈与により土地を取得した際に、その税金(相続税や贈与税)の計算上、取得した土地の評価に用いられるモノです。
具体的には、それぞれの土地が接道する道路について、その道路の1平米あたりの評価額をいいます。

この相続税路線価は、毎年1月1日現在の時価の80%程度を目安に国税庁が算定し、その年の7月1日に発表されます。

【国税庁より、あるコメントが・・】
前回の発表は令和2年7月1日でした。その際に下記のようなコメントがありました。

『今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査(7月1日時点の地価を例年9月頃に公開)の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、
納税者の皆様の申告の便宜を図る方法を幅広く検討いたします。』

この方法とは何か・・それは「路線価の減額補正」と言い1955年に導入されたモノです。

その仕組みは下記のとおり・・・

◆先にも記載したとおり、相続税路線価は時価の8割を目安に算定されている(つまり時価よりも低い)
  ↓
◆しかしながら、何等かの事情により時価が急激に下落した場合、毎年7月に発表される相続税路線価よりも(下落した)時価が低くなるという逆転現象が生じてしまうことがある。
(例)
◇1月1日現在の時価・・100
◇上記に基づき7月1日に算定された相続税路線価・・80(100×80%)
◇8月1日に相続により土地を取得、その時の時価・・70
◇相続税路線価80>相続時の時価70・・相続税路線価が逆転!
  ↓
◆この場合、納税者は不動産鑑定などを行い、相続税路線価ではなく、その鑑定評価をもとに土地を評価して相続税等を計算することができる措置がある。
 しかし、鑑定費用にはコストがかかる。
  ↓
◆このようなことを踏まえて、国税庁では対象となる地域に対して減額補正率を示し、これにより相続税等の計算における土地の評価をすることを認めている。

先に記載したとおり、この制度は1955年に導入されましたが、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害時において適用された実績はあるものの、景気動向等で適用されたことはありませんでした。

【景気動向等による初の発動!?】
しかし、令和2年7月の路線価発表の際、先のようなコメントをわざわざ付したのは、皆様お察しのとおり、コロナ禍の影響による地価の下落を見越してのことであると推測されます。

このコメントが発表されてから3ヶ月後の10月においては、その時点での地価下落は、さほど大きいモノではなく(住宅地▲0.4%、商業地▲1.4%)、令和2年1月~6月について減額補正率は示されませんでした。

しかしながら、ここにきて大阪市内の商業地域において、地価の著しい下落が判明したことから、景気動向による初めての減額補正率が示されました。

その内容は下記です。
◆地域・・心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目
◆地価の下落率・・▲23%
◆減額補正率・・0.96
◆補正率適用期間・・令和2年7月~9月
◆例:路線価による評価2,152万円の土地について、この土地の存する地域おける減額補正率が0.96であった場合。
 路線価評価2,152万円×減額補正率0.96=2,152万円にて評価してOK

【そして第二弾!】
上記の「心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目」に加え大阪市のいくつかの地域についても減額補正率の対象となりました。
◆地域と減額補正率
 心斎橋筋1丁目(0.98)、心斎橋筋2丁目(前回0.96→今回0.91)、千日前1丁目(0.92)
 千日前2丁目(0.93)、宗右衛門町(前回0.96→今回0.91)
 道頓堀1丁目(前回0.96→今回0.90)、道頓堀2丁目(0.95)、難波1丁目(0.92)
 難波3丁目(0.93)、難波千日前(0.93)、日本橋1丁目(0.96)
 日本橋2丁目(0.96)南船場3丁目(0.97)
◆補正率適用期間・・令和2年10月~12月

【全国に広がる?】
この大阪商業地以外においても都市圏を中心に地価の下落傾向が強まっております。国税庁によれば、名古屋市の繁華街のひとつ中区錦3丁目なども今後、減額補正になる可能性があるとのことです。
一方で、東京都や首都圏においては、大きな下落(15%以上下落)は見受けられませんでした。

今回、減額補正率が適用された地域(大阪商業圏)は、この数年1000万人を超える訪日外国人がありましたが、コロナ禍の影響でその数が激減し、その結果、市況が冷え込み地価が下落したと専門家は分析しているようです。

減額補正により税額が下がることは納税者側によってはプラスなのかもしれませんが、本件は、景気後退による減額であり決して喜べる話ではないようです。今後の動向に注目していきましょう。


(文責:代表社員税理士 小竹 勝)

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