Q:「東京五輪でも実施するから廃止せよ」と要望される税があるってホントなの?
A:文部科学省が廃止を要望している「ゴルフ場利用税」がその対象だよ。
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【ゴルフ場利用税さんの悩み】
はじめまして、私の名前はゴルフ場利用税です。
読者の皆さん、私の悩みを聞いて下さい。
私は、役目を終えるべきか?続けるべきか?悩んでいます。
【私の生い立ち】
私は、元々「娯楽施設利用税」という一家の一員でした。
娯楽施設利用税とはボウリング場やパチンコ店などレジャー施設の利用者に一定の額を課す税で昭和29年に施行された歴史ある税制です。
でも、歴史ある私たち一家に対し、お家お取潰しになる大事件がありました。
それが、平成元年の消費税導入です。
この導入により「お役目終了」とのことで、私たち娯楽利用税は廃止になりました。
でも、何故か?私=ゴルフ場利用税だけは「存続しなさい」とのことで、そのまま残ることになりました。
それで、私は1人ぼっちになってしまいました。
【何故、私だけ残ったのか】
偉い学者さんによると、私が残った理由は、次の2つの説があるとのことです。
■1つは、私は「応益税(おうえきぜい)」であるという説
ゴルフ場は、開発許可や道路整備・周辺環境維持をするための行政サービスがかかる=つまり行政コストがかかるものだから、その負担は、利用者が負うべきというもの。
■もう1つは、私は「贅沢税」であるという説
そもそもゴルフとはお金持ちの人が行う贅沢な競技なので、その利用者から多少の税収を得ても構わないというもの。
これが(学説上の)理由だそうです。
【でも本当は・・・】
私、ゴルフ場利用税は都道府県民税です。その税収はなんと500億円もあります。
この額は、各都道府県においては重要な財源で「ゴルフ場利用税が無い地方予算なんて考えられない・・・」と言うほどの規模なのです。
だから、理由はどうであれ、そんなに簡単に廃止できないみたいです。
【でも「廃止すべき」という意見】
そもそもゴルフというスポーツは、普通のサラリーマンでも、やっているスポーツで一般市民に浸透している競技である、だから贅沢なものではない。
それに、ゴルフ場へ通ずる道も、ゴルフ場自らが開発したものが多く、周辺の環境対策についてもゴルフ場自らが実施しているケースが大半で、行政コストはそれほどかかってない。
だから、私は「応益税」でも「贅沢税」でもないので、存在する学説上の理由は既に無くなっている。
それに、ゴルフ場利用者は、私以外に消費税も負担しており、二重課税になっている。
利用者の負担が大きいので廃止すべきだ!
との意見があります。
【オリンピック競技になったのだから】
この「廃止すべき」の意見が最近更に高まっているようです。
その大きな理由は「ゴルフがオリンピック競技になった」ことです。
オリンピック競技になるということは「ゴルフが国際的に広く普及すべきスポーツ」になったということ。にも拘わらず、一方で、私のような税を課すことは、普及に水を差すものだ!だから廃止せよ。と勢い付いています。
そして今年も文科省から、廃止要望が出ているそうです。
この廃止要望は平成25年から毎年出されています。
【私はどうすべき?】
私=ゴルフ場利用税はどうすべきなのか?悩んでいます。
隠居して消費税導入時に役割を終えた娯楽施設利用税の仲間とともにゆっくりと余生を過ごしたいとも考えています。
でも500億の財政に穴を開ける訳にもいきません。
私はどうすればイイのでしょう・・・
詰まるところ・・
これについては、皆様、国民の議論に任せたいと考えています。
(文責:代表社員税理士 小竹 勝)