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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ むかしむかし、うっかりミスで12億円の加算税がありました ◆

2020年2月12日 BLOG

◆ むかしむかし、うっかりミスで12億円の加算税がありました ◆
Q:うっかりミスで12億円の加算税があったんだよね
A:そのミスから苦節●年・・やっと報われる改正があるようだよ
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【法人税は延長できる】
むかし、むかし、あるところに、〇西電力という会社がありました。
とっても大きな会社なので、沢山の株主が居ました。
その会社の決算月は3月ですが、沢山の株主が居るため手続きの関係上、株主総会において決算の承認を得るためには、3ヶ月後の6月になってしまいます。
 
そこで、問題が生じました。
法人税という税金は、決算が確定しないと申告をすることができません。
一方で、その申告期限は原則として2ヶ月後の5月末になります。
 
株主総会で決算の承認=確定されるのは6月、でも、申告期限は5月末・・これじゃ申告期限までに、決算が確定しない!決算が確定しないと申告が出来ない・・どうすればイイのだ?!
 
困っていると、税理士がこんなことを教えてくれました。
「株主総会を3ヶ月後に行うことで、2ヶ月後の申告期限に間に合わない場合は、税務署に届出をすれば、申告期限を1ヶ月延長することができる」これを受け法人税の申告期限を1ヶ月延長しました。
 
【延長できても利子税がもったいないから予定納税しよう】
これで安心・・でも1ヶ月遅れて納税することになってしまうので、その分の利息(利子税)を税務署に支払わなければなりません。
 
利子税を支払うのはもったいないな。
それなら、先に仮の納税である「予定納税」をしてしまおう。
「株主総会で決算が承認されなくても、決算書はほぼ出来上がっているし、それに基づき税金の計算もほぼ正確にできている。だから支払うべき税額はわかっているから先に予定納税することはできる」ということで、2ヶ月以内(5月末まで)に予定納税をして、法人税の申告書は株主総会後の6月に提出(申告)することにしました。
 
このように、〇西電力は、法人税について毎年5月末までに予定納税して、申告書については総会後の6月に提出(申告)していました。
 
 
【うっかりミスで12億円】
それから、数年後のある年のことです。
この年は、経理部のベテラン社員が定年退職してしまい、それを引き継いだ新人社員が経理にあたっておりました。
 
「決算の数字はほぼ固まったぞ」
「だから法人税のおおよそ計算もできた」「あと消費税の数字も同様に固まった」
「よし、今年も、利子税がかからないように、5月末までに予定納税だけはしてしまおう」という訳で、法人税の予定納税に加え消費税247億円を納税しました。
 
それから10日ほど経って・・
経理部長:「消費税の申告書の控えを見せてくれ」
新    人:「部長、消費税の予定納税はしましたが、申告書は総会が終わっていない
            ので、税務署には提出していませんよ」
経理部長:「えっ!それは、法人税の話だろ!消費税には申告期限を延長する制度は
            無いんだぞ」
新人社員は、慌てて消費税の申告書を税務署に提出しました。
 
たった10日・・たった10日申告書の提出が遅れただけでした。
にも拘わらず、12億円もの加算税の通知が税務署から届きました。
 
〇西電力は、税務署に異議申し立てをしたり、裁判所に行政処分取り消しを求める提訴をしましたが、棄却されてしまい、やむなく12億円の加算税を納めました。
 
 
【それは・・あんまりだ】
「法人税の申告期限の延長制度があるので、消費税にも同様の制度があると勘違いし  て、うっかり消費税の申告書を2ヶ月以内に提出できなかっただけなのに・・」
「申告書は遅れたものの、納税は2ヶ月以内に済ませているのに・・」
「勘違いに気づき、10日後には、申告書をキチンと提出しているのに・・」
「それでも12億円の加算税なんて・・〇西電力は気の毒だ・・」
そんな声があちらこちらから上がりました。
 
「そもそも、法人税に申告期限の延長制度があるのに、何故、消費税には同様の制度が無いの・・それ自体がおかしいよ」
そんな声も上がりました。
 
前者(〇西電力は気の毒だ)の声には、当局も「たしかに・・」と理解を示し、2週間程度の遅れであれば、状況に応じて加算税を課さないというカタチになりました。
 
でも後者(同様の制度が無いのはおかしい)の声には
「確定した決算数字に基づき、税額を計算する法人税とは異なり、消費税は会社が預かった税金を納税するモノだから、決算確定を待たなくても計算はできる」との理屈のもと、当局はその声に応えようとはしませんでした。
 
 
【消費税にも同様の延長を認めよう】
「理屈はそうだけど、実際の実務では、決算の組み方や会計処理の仕方によって消費税の税額は動く」
「だから、法人税の申告と消費税の申告はセットで取り扱わないと経理の現場は混乱する」
「それなのに(法人税の申告期限を延長しているにも拘わらず)消費税の申告書だけ先に提出しなければならないのは経理事務に大きな負担をかけることになる」
「これは、昨今の働き方改革(残業の抑制)などに反する」
という声が経済団体から強く上がりました。
 
そこで、今回の税制改正(税制改正大綱)において、「法人税の申告期限を延長している法人ついては、消費税についても同様の制度を認める」ということになりました。
 
「あーよかった」・・経理の現場だけではなく、当税理士法人もこれまで、この矛盾に翻弄されてきましたので、ホッとしているところであります。
 
この改正は3月決算法人の場合、令和2年4月開始事業年度から適用されます。
 
                                           (文責:代表社員税理士  小竹 勝)

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